2014年2月25日火曜日

川口武彦記念労働者運動研究奨励金贈呈式のお知らせとお願い

            川口武彦記念労働者運動研究奨励金贈呈式のお知らせとお願い
                                                          NPO労働者運動資料室
 労働者運動資料室は2002年に、故川口武彦・元九州大学教授の蔵書を基に、NPO法人として発足し、日本における労働者運動の資料収集、紹介、研究、提供等の活動をしてきました。
 2013年は、二池炭鉱三川鉱における戦後屐人の労働災害から50年の年にあたりました。1960年の三池闘争とともに、1963年のこの三川鉱炭じん爆発災害とその後の一酸化炭素中毒患者・家族をつつんだいわゆるCO闘争は、私たちに汲みつくせぬ多くの貴重な教訓を与えてくれました。私たちにとって、忘れることのできない、忘れてはならないたたかいであり、学びつづけなければならない課題です。
 この節日となる年に、三池の地に根をはり、たたかいつづける患者、家族と手をたずさえながら、CO闘争の50年を振り返り、その全貌を記録し、総括するという研究書が刊行されました。田中智子さんの著作『三池炭鉱炭じん爆発事故に見る災害福祉の視座一生活問題と社会政策に残された課題-』(ミネルヴァ非房、2012年10月刊)は、私たちにとってはもとより、日本の労働者遯動にかかわる者にとっで、ぜひとも手にとり仲聞たちと学習して、これ、からの運動に生かしてほしい、そして生命を守る連動の再生に活用してほしい研究書として、表記奨励金を贈呈することになりました。
 贈呈式は下記のとおりの日程で行われます。種々ご多忙のおりとは思いますが、私どもの趣旨をご理解、ご支援いただいて、ご出席いただきますよう、お願いいたします。
日時 2014年3月21日(金曜・祝日)午前11時半~13時
場所 ForumS(フオーラムエス)西新橋
    港区西新橋2-8-11 第7東洋海事ビル]F
 なお当日、受賞者・田中智子さんは大牟田の地から上京され、受賞記念のスピーチをしていただくことになっています。どうぞ仲問の皆様に声をかけてくださって、多くの方々の参加のもと、有意義なひと時となるようご協力のほど、よろしくお願いいたします。

2014年2月11日火曜日

小島恒久歌集『晩禱』紹介

小島恒久先生の歌集『晩禱』(現代短歌社 2014.1)が刊行されました。前歌集『原子野』(短歌新聞社 2005.11)に次ぐ第二歌集です。

小島恒久先生は九州大学名誉教授、社会主義協会代表です。専門は経済学で、『経済学入門』(労大新書)などこの方面での多くの著書があります。向坂逸郎直系の弟子で、研究上も社会実践上も、向坂逸郎の志を直接受け継いでいます。

小島先生は同時に写実を重視するアララギ派の歌人でもあり、過去にも朝日新聞「折々の歌」に取りあげられたことがありました。

題名の『晩禱』は、「みずからも晩年にある私の、先立った人びとに捧げるささやかなレクイエム(鎮魂歌)という思い」と先生はあとがきで述べています。

『晩禱』には、高野長英、渡辺崋山、徳富蘆花、長塚節ら歴史的人物から向坂逸郎、大内兵衛、さらにすでに故人となった多くの同世代の友人までの先人を偲ぶ歌、長崎での被爆体験の思いを詠んだ歌、社会問題、国際問題にアプローチした歌など、さまざまな短歌が計六〇三首収録されています。その全貌を紹介するのは容易なことではありませんが、以下私の独断で二〇首選んでみました。小島先生の短歌の世界をさらに味わいたい方は、ぜひ『晩禱』を書店で注文し直接ご覧ください。

『晩禱』書誌情報 ISBN978-4-86534-001-3 定価2500円(本体2381円+税)2014年1月20日発行 現代短歌社(電話03-5804-7100) 

(歌の配列順は『晩禱』掲載順、かっこ内は原文ではルビ)

被爆死の友らは永久に若くして傘寿の宴の壇上に笑む
受けよとの勧めはあれど師を思ひ同志ら思へば叙勲辞すべき
時流に乗る器用さなければ一つ思想愚かに守り来ぬ悔やまず今は
ソ連の解体見ずに逝かしし先生を死に上手と言ふ背きし弟子が
世に抗し師説を守るわれら少数大方は利に付きて離(さか)りぬ
戦死者の六割がああ餓死と言ふ太平洋戦争の英霊あはれ
アンネあらばいかに嘆かむ祖国の兵が罪なきガザの子かく危むるを
教ふるとは恥しのぶこと己が無知に幾度ほぞかみ壇を下りしか
過労死増え働く貧困層(ワーキング・プア)増えゆくにデモもストもせぬ労組歯がゆし
慰霊祭も市と患者とで別にもつ水俣に残る亀裂は深く
慰安婦にも集団自決にも「軍の関与」を消して歴史をまた歪めゆく
かの夏浴びし放射能がわが身内にひそみ癌となり出づ六十年経て
日露戦の勝利に狂喜し驕る日本を「亡国の初め」と蘆花は断じき
俺も征くと特攻檄せし司令官は征かず永らへ卒寿まで生きぬ
書を捨てよ革命近しと吾に迫りし全共闘の彼のその後を聞かず
コストを惜しみ想定低く見積もりゐて「想定外」と責任回避す
断れば職失ふゆゑ派遣社員は現場に働く被曝ををかして
人住めぬ廃墟となりしチェルノブイリの轍踏みゆくかわがフクシマも
明日の危険よりも今日の利を欲り原発の再稼働のぞむ過疎の地元が
若く被爆し原爆症病むわが終のつとめと叫ぶ「脱原発」を

2014年2月4日火曜日

労農派の歴史研究会第156回例会報告

本文の中に、「企業内にあるのは共同決定法にもとづく従業員評議会であって、日本のような労組の「下部組織」は存在しないということは、昔、聞いたことがあるような気がするが、改めて日本との違いについて、驚かされた。 ドイツでは、労組が企業の外にあり、その労組の組合員が企業と契約を結んで働く、という仕組みになっている。企業に所属する労働者が結びついて労働組合をつくるというのではない。だからドイツの労組では、企業と労働組合幹部が癒着するという事態にはなりにくい。双方とも、結ばれた契約にもとづいて行動するのである。癒着もないが、労使交渉が妥結した後で職場闘争でより有利な条件を認めさせるというような行為もしない。労働条件を変えるには、改めて交渉をし直すしかない。そういう歴史をふまえた、労働組合運動なのである。

 日本の労働運動が活発であった頃には、日本の運動ほうがよく見えた。労使交渉が終って協約が結ばれても、職場闘争の成果として、それ以上の労働条件を獲得することが、たいへん立派な階級闘争だと思われた。しかし、現在の日本では、労使交渉で何か決めても、職場では、サービス残業が横行している、つまり労使交渉で決めたことが守られていない職場が多い。有給休暇は、西欧では100%使うことが当たり前だが、日本では活動家でも100%はなかなか使わない。執筆者の村田さんは、日本の労働組合運動も体験しているので、この違いが良く判っていて、書いたのだと思われる。

 労働組合運動の成立、その後の発展の経過が違うので、組織のあり方についてどちらが良いかは、簡単には言えない。どちらかが良いと思っても、簡単に選択、変更できるわけではない。しかし、ドイツをはじめとする西欧の労資関係において、双方が交渉の結果を大事にしている(もちろん、交渉の結果を守らなければペナルティーが大きい)ということは、日本の労働運動ももっと学んで良いのではないだろうか。

2014年2月1日土曜日

『社会主義』2014年2月号目次

『社会主義』2月号の目次です。注文は社会主義協会へ。一冊600円。紀伊國屋書店本店でも販売しています。
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横田昌三■第一八六回通常国会の焦点と私たちの課題

仲田信雄■大企業にばらまく2014年度予算

 

特集 2014春闘をいかに闘うか

近江守■連合2014春闘方針と課題を考える

足立康次■2014年春闘・各産別の方針を読む

善明建一■派遣労働の常態化に断固反対しよう

原田和明■鉄鋼合理化と2014年春闘

伊藤功■2014春闘、自治労の重点課題

橋本勇■公的部門労働者の実態と課題

 

北川鑑一■特定秘密保護法を検証する

本村隆幸■安倍自民党の「憲法・教育破壊攻撃」

津田公男■新「防衛計画の大綱」がめざすもの

瀬戸宏■中国共産党一八期中全会と現在の中国

伊藤修■古典を読む㉑ マルクス『賃労働と資本』一成り立ち

 

2014年1月9日木曜日

第四回日中社会主義フォーラム報告

*この文章はフェイスブックの私のページに掲載したものですが、フェイスブックをみていない人もいると思うので、ここに転載します。
 
もう去年の出来事ですが、私も主催者の一人として関わった第四回日中社会主義フォーラムが「中国特色社会主義の行方と理論問題」を主題に、12月21日、22日両日慶応大学で開催されました。中国側十二名、日本側八名の研究者が報告しました。主催は社会主義理論学会で、慶応大学東アジア研究所などが共催です。

日中学術交流は、昨今の日中関係のため多少陰りが出てきましたが、基本的にはいまも非常に盛んです。しかし、中国が...今も社会主義を掲げているにもかかわらず、中国社会主義をテーマにしたシン...ポジウムは日本国内では皆無に近いのです。そして、中国国内で社会主義の要素の堅持・発展を主張する部分は、日本では単純に保守派とみなされ、しかもその保守派の主張が具体的に検討されることはほとんどありません。

実際には、中国国内で社会主義を主張する部分は今でも強い影響力を持っています。「現在の中国では社会主義、マルクス主義に関心を持つ者はほんの一握りだ」とよく言われます。これは一面では事実ですが、その「一握り」がどこにでもおり、全部を合わせると相当な数になります。しかも、中国共産党、共産主義青年団という形で強力なネットワークを形成しているわけです。これを無視して現代中国を語っていいのか、これがフォーラム開催にあたっての基本的問題意識です。根底には、文革期という中国が最も社会主義を強調した時期に中国研究を開始した私の、社会主義へのこだわりがあります。

フォーラム開催に当たって、大西広さん(慶応大学)を代表者に、私や田上孝一さん(立正大学)を研究分担者として「中国特色社会主義の多角的研究」をテーマに科研費を申請し獲得できたことが、フォーラム開催の財政的基礎になりました。また慶応大学東アジア研究所からも助成がありました。

フォーラムのプログラムは社会主義理論学会HPに掲載されています。http://sost.que.jp/myweb_017.htm また詳しい経過・内容は、私は別に文章を書く予定ですのでここでは詳細は省略しますが、参加者は傍聴者も含めて約60名に達し、たいへん活発な討論がたたかわされ、会議は大いに盛り上がりました。現在の日本で、社会主義をテーマにした学術会議に60名の参加者があったのは、かなりのものだと思います。中国側、日本側両方の参加者が内容に満足したようです。

私は社会主義理論学会の役員(委員)をしており、フォーラムの実行委員長でした。実行委員長として、中国側のビザ取得用招聘書類作成、フォーラムブログラム編成、予稿集編集を担当しました。フォーラム終了後23日の中国側研究者の東京見学にも同行しました。相当に疲労しましたが、非常に有意義な疲労だったと思います。写真はフォーラム閉会式。
 
 

2014年1月1日水曜日

『社会主義』2014年1月号目次

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
『社会主義』新年号の目次です。注文は社会主義協会へ。一冊600円。紀伊國屋書店本店でも販売しています。
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小島恒久■現代社会とマルクス主義

特集 日本と世界の経済・政治・労働
立松潔
又市征治■座談会「経済・政治・労働情勢の特徴と課題を考える」
高橋俊夫
山崎耕一郎■冷戦後の構図定まらぬ世界政治
木村牧郎■緊縮財政のもとでの欧州労働運動
横田昌三■特定秘密保護法の国会審議と廃止に向けた闘い

吉田ただとも■2014年新年にあたって,
安倍反動政権と対決する広範な戦線の確立を
連合 古賀伸明 自治労 氏家常雄 国労 石上浩一 I女性会議 高橋広子 社青同 柏原孝行 労大 小川研■2014年を迎えて

津田大介■ネット選挙解禁、若者の政治意識は変わるのか
大槻重信■日本は中国との戦争はできない
石川稔■原発再稼動で、国民を危険にさらすな
大谷竹人■2013現業・公企統一闘争から確定闘争へ
脇本茂紀■古典を読む⑳ マルクス『賃金・価格・利潤』
『賃金・価格・利潤』と今日の情勢(下)

2013年12月24日火曜日

労農派の歴史研究会第155回例会報告

レポートを聞きながら、GMが倒産しそうになった頃のことを思い出しました。レポートの中でも言われましたが、GMが危うくなったとき、労組が年金・退職者医療で大幅に譲歩すれば、なんとかなるかもしれないと報道されていました。日本の労資関係であれば、労組は必要なだけの譲歩をして、倒産を回避しようとしたでしょう。日本の風土では、そうせざるをえないのです。
 ところがGMの労組は、倒産の回避に動きませんでした。自分が損をするような譲歩はしないのが当然、というわけです。退職者の権利を、守ったのです。そしてアメリカでは、この点で労組を非難する声は、無かったようです。少なくとも、日本で報道されることはありませんでした。
 たぶん、日頃の労使交渉でも、同様の態度だと思います。右より、労資協調思想といっても、交渉の場に出れば、やたらに譲歩しないのです。この点では、日本の労働運動、それを取り巻く周囲の眼と、かなり違います。 日本では、かなり左よりの執行部をもつ労組でも、交渉では、非妥協ではいられません。とくに倒産の危機が指摘されるような状況では、「お互いに譲り合って危機を回避せよ」という圧力がかかります。それを無視すると、後々の運動に差し障りが大きいので、最後は譲り合うという形で終ることが多いのです。
 この違いは、それぞれの国の風土によるので、指導部が思想的に右よりの組合も、左よりの組合も、どちらもその風土を無視できません。もちろん、交渉決裂というケ-スもありますが、非常に少ないと思われます。
 レーガンが大統領になった直後に、航空管制官のストに直面しました。レポートにあるように、この時は双方非妥協で、大統領は航空管制官全員を解雇しました。労組はもちろん打撃を受けたのですが、大統領の行為もやり過ぎであったようです。レーガンの政治を誉める人は時々いますが、この争議への対応について誉める人は、あまりいません。アメリカの風土でも、いつでも非妥協で交渉するのが良いわけではないようです。