2012年5月25日金曜日

労農派の歴史研究会第138回例会報告

この「新宣言」は、革命、革命的激動にかかわる表現を出来るだけ少なくして、社会主
義への移行を説こうという文章です。当時の社会党左派の人たちが、右派、労働組合の指
導者たちを刺激するような部分を削りながら、党員を納得させようという意図が、読み取
れます。それが当時の私(山崎)を含む社青同の活動家には不満であったのです。

 しかし、さきの政権交代を経験してみると、別の受け止め方も出てきます。ご承知のよ
うに民主党というのは、社会主義政党ではありません。自民党政権時代の財界、官僚との
癒着、アメリカ追随をやめて、民主化を推進しようとしたのですが、それだけの改革でも、
ものすごい抵抗があり、内閣は行きづまってしまいました。

 もしあの頃に、社会党政権ができていたら、既得権者たちの抵抗・妨害は、ものすごか
ったと思われます。われわれは、革命的な議論をしていた割には、そういう反動攻勢への
備えについては、準備が出来ていませんでした。そして政権を再転覆しようとする人たち
と闘うには、多くの労働組合との協力が必要です。たとえ右派(労資癒着の運動をしてい
る人たち)であっても、できるだけわれわれの意図を理解してもらうことが、必要です。
そういうことを考えながら当時の論争を想い起すと、もう少し違う発言で良かったような
気がします。

 話は変わりますが、フランスの大統領選挙の結果は、たいへん良かったと思います。オ
ランドという人は、有名なENA (国立行政学院)出身のエリートであり、社会主義者では
ありませんが、緊縮財政政策を批判し、雇用拡大による経済の成長を主張しているのは、
適切だと思います。日本の政治家も、「公務員叩き」の風潮に迎合しないで、「賃金上昇に
よる内需拡大」策を、主張した方がよいと思います。

2012年5月1日火曜日

『社会主義』2012年5月号目次

鎌倉孝夫◇金融・財政危機から国家の危機へ(上)
広田貞治◇混迷する国内外情勢と解散総選挙
特集 現存する社会主義の現状
善明建一◇「ドイツ左翼党綱領」の検討(上)
松永裕方◇キューバの経済改革で社会主義を考える
辻田純◇「中南米社会主義運動の現状」について
加納克己◇「中国の特色ある社会主義」をめぐって

伊藤修◇批評 「大学は今」
中野麻美◇雇用改革の現段階
津田公男◇活発化する改憲論議
梅川正信◇訪韓して韓国民主労働者との交流から得たもの
大槻重信◇変貌する日米安保体制
小川研◇古典を読む⑲ 『パリ燃ゆ』(二)