2015年12月23日水曜日

書評『マルクスと日本人』(田部徹)

*田部徹氏(社会主義協会北海道支局)より『マルクスと日本人』書評が社会主義協会理論部会メーリングリストに投稿されました。田部氏の同意を得て、「管理人より」に転載します。



田部さんの書評原稿は、『社会主義』一二月号掲載予定原稿でした。管理人の勘違いでこのブログに転載してしまいました。『社会主義』編集部の意向もあり、『社会主義』一二月号発行まで削除します。一二月号が発行された後、また掲載致します。管理人の不手際をお詫び致します。
(2015.10.29記す)


十二月号もすでに発行されましたので、田部さんの書評を再掲載します。


  七月下旬に明石書店から発売された本書は、我社会主義協会の山崎耕一郎氏と元外交官で作家である佐藤優氏との、労農派マルクス主義を中心に日本のマルクス主義についての対談をまとめたものである。
  本書は、第一章 日本の社会運動と向坂逸郎、第二章 日本の戦後社会主義運動の展開、第三章 ピケティー「二一世紀の資本」と「資本論」、第四章  「資本論」と社会主義・資本主義の行方、第五章 労働価値説の立て直しと労農派マルクス主義の再発見、終章 日本社会は変えられるか、変革の主体はどこにあるか、で構成されている。
  前書きで佐藤氏(一九六〇年生まれ) は、自分のものの見方、考え方の基本はプロテスタントのキリスト教であるが、同時に高校生から大学生時代にかけて社青同(山崎委員長の時代)に所属し、マルクスの思想から強い影響を受けていると語る。
 一方山崎氏は佐藤氏より二〇歳年長、一九六六年社青同再建東京地本書記長、七一年同本部書記長、七四~八〇年委員長に就き、九八年~協会事務局長、〇二年から十年間代表代行を務めた。私より四つ運動の先輩で、横路孝弘・江田五月等と同年代である。
 本対談は佐藤氏が学生時代所属していた時代の社青同と労働大学の特色、他の民青や新左翼との違いを語ることから始まる。
  第一、二章では、日本における非共産党マルクス主義、労農派マルクス主義を、向坂逸郎の人物像と共に紹介し、社会主義協会の歴史的役割について言及する。その歴史的意義については、講座派・日本共産党と異なる日本資本主義分析と平和革命論にあり、左派社会党綱領に結実したことを評価する。
  佐藤氏は非共産党マルクス主義としての労農派、社会主義協会について、国際的な社会主義運動、世界的文脈の中でも特色ある存在であると高く評価する。
マルクス主義とマルクス・レーニン主義について
  他方、第一章で山川均、宇野弘蔵と向坂逸郎との位相の差について論じているところは興味深いものがある。
  特に私が興味をひかれたのは、山川・大内、向坂のソ連社会主義の評価について、少し距離があったことに触れているところである。
 それは、ユーゴとハンガリー動乱の評価について、山川は「社会主義の道は一つではない」とする基本的立場から当時のソ連を批判したのに対し、大内兵衛はソ連擁護を徹底、向坂は問題があつたとしても、実現したソ連社会主義擁護の立場をとった。
 そしてソ連社会主義が発展し、ML研と協会との交流が深まるなか、協会は六七年マルクス・レーニン主義者の集団であると自己規定する。(私は協会が分裂したその年に向坂協会に加入した。翌年のチェコ事件に対して協会がそれを反革命と規定したが、大変評判が悪かったことを記憶している)
 後のポーランドに始まる民主化運動の流れや、東欧社会主義崩壊の要因に転化していった二〇世紀社会主義の「一党独裁・官僚社会主義」が内包した問題は、その頃から検証すべき課題を持っていた。
  私は、当時の社会主義と帝国主義とが対立する現実を踏まえながらも、協会が「マルクス・レーニン主義者の集団」と自己規定したことが、ソ連東欧社会主義の抱える理論的諸問題を解き明かしていく作業を遅らせ、いたずらに古典への「訓詁学的」解釈に依存する傾向を許してしまったマイナス面を付け加えたい。
  この歴史的教訓は、ソ連東欧崩壊後二五年が過ぎた現代においても、現実の中国社会主義をどのように評価分析し、日本の社会主義像を作り上げていく糧にするか、私たちに問われている課題であると考える。
 
社会主義と国家について
 このことについて本書では第四章で掘り下げた対談を行う。佐藤氏は協会、労農派社会主義、社会民主主義含め、国家による社会的不平等を調整しようとするラッサール主義で、そこに国家社会主義の問題があると指摘する。そして、マルクスが考えていたのはそれと違う理想である、と述べる。
 このことについて山崎氏は、革命後の社会、国家について、「これまでみんなが共同してつくる組織という以上には具体的に考えていなかった」「権力を握ったらただちに全部国有化して国家の手で配分すれば平等になる。それを社会主義と言っていた」「それが、ソ連を見て計画経済というのは、全部国有化されてもそれを使いこなす人材もいない。ただ計算上賃金を平等にすればいいというものではないんだというのが、だんだん解ってきた」と述べ、「検証・ソビエト政権」の総合的な検証作業を提起する。
 ここでの二人の討論が取り上げているのは、社会主義を建設する人間主体の問題である。生産手段の国有化が真に労働者階級の所有とならず、一党独裁のもとで国家官僚指導層(いうところのノーメンクラツーラ)により変質していった歴史的事実とその限界性が、いかにして克服されうるのかという本質的な問題提起をしている。
 それは、これまで協会が行ってきた各論からのソ連・東欧崩壊の研究を、より総合的に深め、次の社会主義社会建設の糧にしようとするものである。遅すぎるとはいえ、私たちが経験し、見てきたこれまでの社会主義を総括し、これからの社会主義を展望する上で避けて通れない課題である。


教条より事実の発展を正確に捉えて
 さらに山崎氏は、六十年代後半の「リーベルマン論文」「利潤概念の導入」に対し、多くの人が「ソ連の社会主義はマルクス・エンゲルス理論から離れた」といった評価に対して、向坂逸郎が書いた次の文章を紹介する。
ー「マルクス、エンゲルスは社会主義社会には生きなかった。だからその社会の国家形態が、どのように変化し、死滅するかを、その目で確かめることは出来なかった。ロシアの現実的発展が、マルクス、エンゲルスが充分推測しえなかった国家形態の推移を示しても、目に角を立てるに当たらない。教条よりも、事実の発展を正確にとらえることが大事である」ー
  この一節は私たちがこれからの社会主義を考えていく上で大変重要な方法論を提示している。ソ連・東欧社会主義の発展をおしとどめ、崩壊をもたらしたその政治・経済・社会要因を事実に立って分析し、次の社会主義のありようを提示していくことを要求しているのである。
  二人は本書で、労農派マルクス主義を中心に、社会主義の諸問題について多岐にわたり語り合っている。ここでは社会主義論についての一つの論点に触れたにすぎないが、現実のソ連と関わりその内実を見てきた佐藤氏と、社会主義運動を実践してきた山崎氏との丁寧な対談は、これからの社会主義を展望する上で、読むものに心地よい共感の響きを与える。




2015年12月1日火曜日

『社会主義』2015年12月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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伊藤修■2015年の日本経済をふりかえって
特集 原発推進の安倍政治にノーを
飯田哲也■原発復権への企みに対抗するエネルギーデモクラシー
遠嶋春日児■「命」より「経済」優先への逆戻りを許さない
石川みのる■今、なぜ伊方原発再稼働か
芦原康江■市民の声で止めよう! 島根原発再稼働
福井勝■美しいびわこを残すために
ふくもとまさお■ドイツ・メルケル政権の脱原発の現状
梶村晃■戦争の仕組みに組み込まれてきた教育
田部徹■書評 『マルクスと日本人』社会運動からみた戦後日本論
瀬戸宏■中国マルクス主義研究院訪日団との理論交流
善明建一■社会主義で「商品交換」が残るのは何故か
平地一郎■『資本論』を理解するための論点を考える 貨幣論

2015年11月1日日曜日

『社会主義』2015年11月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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北川鑑一■派遣永続化をもたらす派遣法改正
 特集 安倍政権と対抗する政治戦線の展望
中島章夫■注目される”民共合作”
加藤 繁秋■新しい政治戦線の一考察として
吉平史明■沖縄の尊厳を守る闘い


立松潔■ドイツ左翼党・ローザ・ルクセンブルク財団との交流/脱原発に向けた交流強化を痛感する(佐藤龍彦)/ザクセンハウゼン強制収容所を訪問して(今野吉一)/10年ぶりのドイツ訪問(辻田純)
津留湊■葉山嘉樹「淫売婦」の映画化に寄せて
長田順次■自治労全国一般評議会第11回定期総会を終えて
善明建一■「生産手段の社会的所有」と国家の役割
加納克己■私の「敗戦後70年談話」
足立康次■『資本論』を理解するための論点を考える
酒井和子■「女性活躍推進法」の狙いと問題点
星諒■批評 最近思っていること

2015年10月27日火曜日

『マルクスと日本人』書評(井上定彦)ほか(ネツト上の書評)

「メールマガジン・オルタ」(加藤宣幸氏ら編集)140号(2015.8.20)に井上定彦氏(島根県立大学教授)の佐藤優・山崎耕一郎『マルクスと日本人』書評が掲載されています。うかつながら今頃気が付きました。かなりの字数で好意的な内容です。リンクします。


http://www.alter-magazine.jp/index.php?%E3%80%8E%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%80%80%E2%80%94%20%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%BF%E3%81%9F%E6%88%A6%E5%BE%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AB%96%20%E2%80%94%E3%80%8F






また、この機会にネットを調べたところ、下記の書評がみつかりました。発表順にリンクします。否定的なものも含めてさまざまな内容ですが、これだけの書評が出たのは、やはり同書がかなり広く読まれていることを示すものでしょう。


原野人「山崎耕一郎氏の社会主義論(上)-『マルクスと日本人』佐藤優×山崎著を読んで」 『社会通信』No.1199(2015.9.1)
http://shakaitsuushin.cool.coocan.jp/mokuji/1199-20150901.pdf
原野人「山崎耕一郎氏の社会主義論(下)-混迷を脱却し共同戦線の推進者たれ 『社会通信』No.1200(2015.9.15)
http://shakaitsuushin.cool.coocan.jp/mokuji/1200-20150915.pdf




有坂汀さんの書評(9.18)
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.honzuki.jp/book/229574/review/142655/




書評メモブ(9.26)
http://blog.livedoor.jp/sonyfan/archives/52134190.html




田中尚輝のブログ(10.9)
http://blog.canpan.info/tanaka-naoki/archive/2094







2015年10月22日木曜日

中国社会科学院マルクス主義研究院訪日団と社会主義協会の理論交流

2015年中国社会科学院マルクス主義研究院訪日団が10月15日から19日まで社会主義協会の招待で日本を訪問し、18日(日)には社会主義協会との理論交流が行われました。これは、2001年に始まるマルクス主義研究院の前身であるマルクスレーニン主義毛沢東思想研究所時代からの交流の歴史を受け継ぐものでした。


今回の団は、賈朝寧中国社会科学院マルクス主義研究院副院長はじめ計6人のメンバーでした。
社会主義協会との交流のほか、京都大学人文科学研究所などを訪問し、京都、東京を参観しました。昨今の引き締めのためか訪日日程が以前の団より短くなっており、中国側が面談を希望しながら会えなかった研究者もいました。


18日の社会主義協会との理論交流では、事前に双方が質問事項を提出していました。その内容は次の通りです。




●中国側質問事項
1.あなた方は 中国の新しい改革全面深化をどうみているか。 
2.あなた方は中国の国有企業改革の出口はどこにあるとみているか 
3.中国政府の反腐敗措置をどうみているか 
4.日本の学者は中国の道をどうみているか 
5.中国の近年の外交政策をどうみているか 
●日本側質問事項
1.21世紀の中国外交政策
2.中国経済の現状-新常態をどう考えるか
3.中国経済体制改革の現段階-国有企業を中心に
4.習近平政権の反腐敗闘争をどう考えるか
5.中国の環境問題の現状と対策




以前の訪日団からは、日本に関する事が質問されたのですが、今回は中国の事を日本がどうみているか、が質問の中心でした。理論交流は、午前10時から午後5時まで、熱心な討論が行われました。理論交流の詳細は、『社会主義』一二月号で紹介される予定です。

2015年10月1日木曜日

『社会主義』2015年10月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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特集 戦争法制廃止に向け闘い続けよう
又市征治■参議院における戦争法案の攻防と今後の課題
横田昌三、飯島滋明、福山真劫■2015年度現代社会問題研究会シンポジウム
    戦争法案阻止と護憲運動
吉田進■「戦争をさせない1000人委員会」(長野)
金子彰■憲法を我々の手に取り戻し安倍政権を打倒しよう(埼玉)
長田秀樹■「戦争をさせない北海道委員会」の運動
津田公男■15年「防衛白書」と新安保法制


布野隆■自治労第88回定期大会を終えて
本村隆幸■日教組第103回大会を終えて
野口雅人■第82回私鉄総連定期大会から見える現状と課題
佐藤哲夫■岩手県久慈市議選を戦って
杉田憲道■連載 いま、『資本論』からまなぶこと①
  『資本論』学習の出発点
向坂逸郎■社会主義の古くして新しきもの②

2015年9月12日土曜日

労農派の歴史研究会第172回例会報告

*飯田敬輔『経済覇権のゆくえ』(中公新書)第5章


前回、学習したように、ギリシャをはじめ南欧の諸国(国名の頭文字をとってP 1 I GSと呼ばれる)の債務は、なかなか減りそうもありません。EUの危機は続きそうです。アメリカとEUが力を落としているような状況で、注目されているのが、今回のテキストにある中国経済です。中国も、先日来の世界株価暴落のきっかけをつくったように、危ういところはあるのですが、それでも、大国で、GDPの大きさでは、群を抜いています。基礎的なところを、頭に入れて、いろいろなニュースに惑わされないようにしたいと思います。


 ところで、丸善、紀伊国屋などの大書店に行くと、世界情勢の注目点を表紙に大きく書いた本が、平積みになっていて、つい買ってみたくなります。最近、私の眼についたのが、『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』(文春新書 エマニュエル・ドット著)、『ユーロ破綻そしてドイツだけが残った』(日経プレミアムシリーズ 竹森俊平署)、『押収解体ドイツ一極支配の恐怖』(東洋経済新報礼 ロジャー・プードル著)です。どれもEUのなかでドイツが独り勝ちであり、南欧諸国は財政破綻して、EUは崩壊するという趣旨です。


 トッドは、経済にはあまり強くない様子ですが、他の二人は金融・財政には詳しい人です。本当にこの通りになれば、崩れかけているアメリカ、日本、中国の経済も、落ち込んでしまうでしょう。この通りになるかどうかは不明ですが、少なくともその危険性はある、ということではないかと思います。

2015年9月1日火曜日

『社会主義』2015年9月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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小島恒久■安倍談話について思う


特集 財政再建で切り捨てられる社会保障
仲田信雄■成長頼みの「財政健全化」と社会保障費の削減
青木明■「医療」から「介護」への転換がもたらすもの
谷川徹■締め付けが強まる生活保護
川上登■「骨太方針2015」と地方財政の課題


古川秀子■書評 『ルポ 保育崩壊』
佐藤龍彦■大震災・原発事故から四年六カ月
菅原修一■日本経団連『わが国経済外交のあり方に関する提言』を読む
三木秀樹■格差社会と闘う選挙 高松市議選の総括から
「憲法と私」語り続け引き継ごう戦争体験と改憲阻止闘争②
  岩手・伊澤昌弘/滋賀・西谷沢重/熊本・杢田恭輔
若松繁男■批評 反自民の戦線構築を担う労働運動の強化の課題
向坂逸郎■社会主義の古くして新しきもの ①

2015年8月31日月曜日

現代社会問題研究会夏季研究集会終わる

8月29日開催の現代社会問題研究会2015年度夏季研究集会「戦争法案阻止と護憲運動」は約40名の参加で盛会のうちに終わりました。ご苦労様でした。討論も活発で、有意義なシンポジウムになったと思います。


残念ながら、吉田忠智社民党主が、反戦争法案運動の盛り上がりなどの中で急遽どうしても出席できなくなり、替わって横田昌三社民党企画局長にパネラーとして出席、発言していただきました。参加者の皆さまにはお詫び申し上げるとともに、多忙な中で急遽パネラーを引き受けていただいた横田企画局長にお礼申し上げます。


http://www.geocities.jp/gensya2004/index.html

2015年8月5日水曜日

佐藤優・山崎耕一郎『マルクスと日本人』重版

佐藤優・山崎耕一郎『マルクスと日本人』(明石書店)が重版とのことです。
https://twitter.com/akashishoten/status/628793010256396288
HP本体・表紙にも書き込んでおきました。


社会主義協会・社青同に好意的な本が売れているのは喜ばしいことです。この本は、社会主義協会などを知らない人、知らないくせに偏見を持っている人にぜひ読んでもらいたい本です。


もちろん、協会をよく知っている人にも勉強になる本です。社会主義協会大阪府支部では、この『マルクスと日本人』を定例学習会の次のテキストにすることになりそうです。



2015年8月4日火曜日

2015年8月4日労働者運動資料室HP(本体)更新

表紙に、現代社会問題2015年度夏季研究集会案内を追加しました。またこれに伴い、「集会案内」を一部手直しし、現在は集会案内はこのブログでおこなっていることを明記しました。
 
リンク集に、SEALDs、I女性会議を追加しました。I女性会議はフェイスブックへのリンクです。一部の消滅HPを明示しまた。山田敏行(元新宿区議会議員、新社会党)、稲森としなお(三重県会議員)のリンク先を変更しました。いずれもリンク切れしていたものを現在のURLに差し替えました。

今回も小幅な更新に留まりました。本体の新しい資料の追加は、もう少しお待ちください。


2015年8月2日日曜日

2015年度現代社会問題研究会夏季研究集会

毎年恒例の現代社会問題研究会夏季研究集会の今年度の内容が決まりました。




2015年度夏季研究集会 
シンポジウム 戦争法案阻止と護憲運動
日時: 8月29日(土) 14時00分~15時00分
パネラー 吉田忠智(社民党党首)、飯島滋明(名古屋学院大学准教授)、福山真劫(平和運動センター)
司会 北川鑑一(弁護士)
場所: 全水道会館中ホール  *JR水道橋駅東口より徒歩2分 
参加費 1000円




現在、戦争法案と呼ばれる平和安全保障関連法案(安保法案)反対の運動が大きな盛り上がりをみせています。7月16日衆議院通過後も、その勢いはやむことがありません。反対デモは、国会のある東京だけでなく日本全国の都市でおこなわれています。法案衆院通過後、安倍内閣の支持率は政府に好意的な産経新聞の調査ですら、支持39.3%・不支持52.6%と支持・不支持が逆転し、第二次安倍内閣発足後初めて不支持が多数になりました。(7月20日付産経新聞)安保法案の今国会成立も、63.4%が反対しています。(同)
 反対運動がもりあがる大きなきっかけとなったのが、6月4日衆議院憲法審査会で自民党推薦も含む参考人の憲法学者全員が、政府の集団的自衛権の行使や安保法案は憲法違反だと意見陳述したことです。これからもわかるように、反安保法案運動と憲法擁護運動は密接な関連をもっています。
 本年の夏季研究集会は、この安保法案の問題点と憲法との関連、反対運動の盛りあがりと運動の質・方向性をどう考えるか、護憲運動の現状などを、国会、憲法学、平和運動の第一線で活躍している方々をお招きし、反安保法案と護憲運動と題するシンポジウムを開催することといたしました。多くの皆さまが本年の夏季研究集会に参加し、戦争と平和・憲法の問題を考えてくださるようお願いいたします。


詳細はこちら
http://www.geocities.jp/gensya2004/index.html



2015年8月1日土曜日

『社会主義』2015年8月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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佐藤保■戦後体制「脱却」70年の攻防を顧みて
 特集 戦後70年と日本の安全保障
大槻重信■グローバル化に向かう自衛隊
澤野義一■集団的自衛権行使容認論の憲法的正当性の検討
善明建一■日本国憲法はGHQの「押しつけ」憲法か
仲田信雄■安倍政権の軍拡路線と増える防衛予算
「憲法と私」 語り続け引き継ごう戦争体験と改憲阻止闘争①
  千葉・村上克子/福島・藤野美都子/富山・羽根栄一/香川・池田實/愛媛・大森紀美雄
丸尾育朗■被爆70年・戦後70年を思う
金子哲夫■被爆70年 広島から考える
塚原久美■第34回山川菊栄記念賞
  中絶のスティグマを超えて
原均■劇団民藝公演「冬の時代」を鑑賞して,
向坂逸郎■社会主義とは何であるのか②

2015年7月19日日曜日

労働者運動資料室HP更新

・表紙に、『マルクスと日本人』(明石書店)発行を提示しました。


・リンク集に平和友好際事務局、社民ユース東京を追加しました。労働大学(坂牛学長)のリンク先を変更しました。


社民ユースはなぜか社民党埼玉県連合になっていたので、社民ユース東京を掲載しました。


他に更新しなければならないページもありますが、とりあえず小幅な更新です。

2015年7月11日土曜日

佐藤優・山崎耕一郎『マルクスと日本人』

山崎耕一郎さん(社会主義協会元代表代行、労働者運動資料室理事長)と佐藤優さんの共著『マルクスと日本人――社会運動から見た戦後日本論』が近く出るとのことです。対談集のようです。




7月中旬発行予定、明石書店、定価1400円+税。
ISBN 9784750342184
判型・ページ数 4-6・260ページ


「佐藤優による戦後日本の思想・社会運動論。対話する相手は、彼が十歳代に加盟した日本社会主義青年同盟の指導者・山崎耕一郎。向坂逸郎ら日本の理論・実践家への思い、ピケティへの評価なども交え、資本主義の問題点と、そこからの脱却の可能性について語る。 」(明石書店の新刊案内)
http://www.akashi.co.jp/book/b201277.html




アマゾンにも紹介が出ています。これによれば7月17日発行とのことです。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4750342181/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4750342181&linkCode=as2&tag=honeyvanillat-22

2015年7月8日水曜日

平和友好祭事務局のブログ

うかつでしたが、平和友好際事務局のブログができているのですね。最新書き込みでは、社青同、新社会党青年学生委員会、社民ユースによる辺野古反対運動が紹介されています。
http://heiyusai.ti-da.net/


近く更新の際本体に書き込みますが、とりあえずここで紹介します。

2015年7月1日水曜日

『社会主義』2015年7月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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編集部■労働関連三法案に反対し闘い続けよう
        特集 世界と日本の経済・政治・労働
北村厳■世界経済の「新常態」
木村牧郎■変容する欧州社会とイギリス労働運動の挑戦
立松潔■脆弱な景気「回復」と格差の拡大
横田昌三■安倍政権の暴走を食い止めよう




芳賀和弥■米国における最低賃金引き上げ運動
森岡利文■大阪都構想否決が示したもの
高橋俊夫■地方から2015春闘を闘って
寺下雅人■成果主義賃金下における2015春闘
菅原晃悦■批評「人権軽視」の格差解消が鍵
大川暁■信頼がなければ理論・政策も受け入れ困難
向坂逸郎■社会主義とは何であるのか①

2015年6月30日火曜日

労農派の歴史研究会第171回例会報告

私がこういう運動をはじめ、世界経済の動向に興味を持ち始めた頃は、一方では、ソ連を中心とする社会主義国一発展途上国の陣営がありましたが、資本主義の世界では、アメリカの優位は圧倒的でした。こんなに早く、アメリカ中心の資本主義世界体制が崩れるなどということは、想像もつきませんでした。


 社会、第4章を讒むと、アメリカ中心の経済・金融秩序が崩れるのは、1めようのない
流れでした。アメ!Jヵの経済力と政治・軍事力がともに突出していたので、圧倒的な力に
見えました。そのアメりカの、累積債務が大きくなり始めても、アメリカの力の強大さが
揺らいだようには見えませんでした。


 しかし、アメリカの力の低下は、経済においては防ぎようのないものでした。今でも、
アメリカ資本の力は強大です。しかし世界の金融秩序は、もはやアメリカが絶対的な中心
ではなくなりました。卩本の経済・金融における力が、相対的に大きくなっているのは事
実です。しかし日本には、世界の経済・金融秩序を扣っていくような人材がいるよ引こは
見えません。言い複えれぱ、金持ちではあるが人材に乏Lい国が、中心に座ったらどうな
るか。嬖するに、世界の秩序は不安定にならざるをえないのです。これを呼んでの、率直
な感想です。


 もちろん、世界の金嫐秩序を動かしていくような人材は、必要に応じて、育つことも事
実でしょう。しかし、数十年間、アメリカの顔色をうかがいながら世界の政・財界で生き
てきた日本の官僚と財界人の中に、世界を視野に入れながら必要な秩序をこなしてゆける
人材が育つようには見えません。これからどうなるのでしょうか?

2015年6月1日月曜日

『社会主義』2015年6月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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又市征治■「戦争できる国」・壊憲を阻止しよう!


特集 二〇一五春闘中間総括と今後の課題
■連合一五年春季生活闘争 須田孝連合総合局長に聞く
佐古正明■月例賃金の引き上げにこだわる(私鉄中国)
山本隆史■一五春闘を闘い郵政職場の課題を考える
宮本幸治■二〇一五春闘と労働運動強化に向けた課題(国労)


北川鑑一■いい加減にとめなければ労働法制改悪
佐藤光明■公立病院 賃金ダブルカット攻撃に抗して
久場島清皓■辺野古新基地反対闘争
川久保通■佐賀県議選を戦って
石田勉■統一自治体選、県議選を終えて(秋田)
平井和子■第三四回山川菊栄記念賞
 日本占領から問う、「軍隊と性暴力」の共生関係
向坂逸郎■マルクス主義とは何か? ③

2015年5月25日月曜日

労農派の歴史研究会第170回例会報告

 1980年代、90年代にはしぱしば、「日米経済摩擦」が、新聞、雑誌をにぎわしていた。
当時は、徹底した合理化でコストを下げて生産した商品を売りまくっていた日本の立場で
の報道が多かりたと思います。この第3章は、日本の商品を売りまくられて困っているア
メリカの対応について、いろいろ書かれていました。圧倒的な経済覇権国だったアメリカ
の工場での、生産性が日本の工場にくらべて、劣ってきてしまった結果です。


 覇権というものは、永久に続くものではないのですが、アメリカの生産者たちは、そん
なことを達観しているわけにはいかなかりたでしょう。政治家や国家機関に陳情・要請(アメリカでは「ロビー活動」と言われる)をして、その圧力を受けた者が、日本との交渉にあたったわけです。だから、態度はきわめて強気でした。口本側の交渉肖事者の後ろにも、生産者の圧力があるので、弱気を見せるわけにはいきません。


 GATT,WTOなどの閥際機関と言うのは、そういう人たちが活動する場です、だから、国際交渉の場に出る人間というと、英語やフランス語のうまい奴だろうと思われています。外国語の知識も重要ですが、それよりも大事なのは、そのときの議題に関わる業界の事情を良く理解していることです。F押し一本槍」で決裂してもいけないので、的確な「落とし所」をさぐることも大切です。そういう交渉を続けながら、だいたい双方の力関係に見合うように、国際的な協定が出来上がるわけです。80~90年代の日米の経済関係には、そういう協定の変化がありました。しかし協定というものは、情勢に応じて変化するもので、現在のTPPをめぐる交渉は、アメリカの巻き返し策をめぐる攻防戦です。

2015年5月1日金曜日

『社会主義』2015年5月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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立松潔■日本的雇用の変質と「アベノミクス」の雇用改革
 特集 戦後70年 安全保障法制と強まる改憲策動
鎌倉孝夫■敗戦後70年の反省 労働者・人民の主体性確立を
飯島滋明■安倍政権の「戦争関連法」を検討する
中村元気■安倍首相の歴史認識を問う
西澤清■マスコミの右傾化と安倍政権
吉田進■批評 安倍政権に抗して
善明建一■過激派組織「イスラム国」の台頭と中東情勢
原田和明■鉄鋼資本と労働者の状態
石原健二■山場を迎えるTPP交渉 その影響と現状を見る
瀬戸宏■中国の2015年政府活動報告と経済「新常態」
向坂逸郎■マルクス主義とは何か?②

2015年4月19日日曜日

社民ユース Official Web Site

ちょっとうかつでしたが、社民ユースOfficial Web Site ができていました。近く本体のリンク集からリンクしますが、とりあえずここで紹介します。
http://sdp-youth.org/

2015年4月18日土曜日

労農派の歴史研究会第169例会報告

*飯田敬輔『経済覇権のゆくえ』(中公新書)第三章通商体制の変遷


 アメリカとイギリスは、利害が結構対立しているのに、上手に連携しながら世界をリー
ドしてきました。とくに、ブレトンウッズ体制と言われる、ドルを事実上の基軸通貨とす
る通商、経済の運営は、うまくやってきました。


 その象徴的な人物として、コーデル・ハルが紹介されています。Fハル・ノート」という
日米開戦を語る際にしぱしぱ出てくる文書の署名者です。ローズベルト政権での国務長官
です。このハルのもとで、ブレトンウッズ体制といわれる。ドルだけが金と結びっき、他
の通貨はドルとの繋がりで信用・安定を保障されるという体制ができました。戦後の世界
経済は、このブレトンウッズ体制の下で維持されたわけです。


 ご承知によ、うにアメリカは、強い軍事力とCIAという強力な諜報(陰謀)機関を駆使
して、世界に君臨してきました。しかし経済においては、裏方の役割も果たして、世界経
済の混乱を防いできたのも事実です。そういうことのできる人材も、アメリカは供給して
きたのです。経済力の落ちているイギリスも、この体制をつくるのに貢献したそうです。
ケインズが、その準備に参加しました。その呼び討議に、2年間かけたと書かれています。
 GATT(貿易と通商の一般協定)も同様に、この両国がリードしながらつくられまし
た。アメリカの圧倒的な経済力をテコに、世界の通商の秩序を維持してきたわけです。そ
のアメリカの経済力も、年々、落ちてきています。まだ世界第一位ではありますが、第二
位との差は、詰まってきています。


 次はどうなるか、知りたいわけですが、その具体案を考える前に、もう少し、この通商
秩序の混迷ぶりの進化の過程を、次回に学習します。

2015年4月1日水曜日

『社会主義』2015年4月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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向坂逸郎■マルクス主義とは何か?① 向坂逸郎の思想に学ぶ 

 

特集 「地方創生」を過去・現在から考える

町村進■「平成の市町村合併」から「地方創生」へ

脇本茂紀■「平成の大合併」で進む住民自治の破壊

岡田新一■山形県における経済・雇用実態と運動課題

荒井宏行■中小・未組織労働者をとりまく情勢と課題

中康昌■雇用の劣化と子どもの貧困、教育格差

石原忍■医療制度改革がもたらした現状と課題

 

角田政志■「福島で生き続けること」を原点に

藤井宗一■農協改革の狙いと農業・農村

中村ひろ子■アベノミクスの雇用改革と女性労働

小島恒久■向坂先生と文学

2015年3月31日火曜日

劇団民藝『冬の時代』公演-労農派を描いた舞台

堺利彦、山川均ら労農派の人々を描いた木下順二作『冬の時代』が初演以来50年ぶりに劇団民藝で再演されます。大逆事件で幸徳秋水らが処刑された後、売文社を組織して“冬の時代”を生き抜き「小さな旗あげ」に至るまでの堺利彦らの苦闘を描いた作品です。
初演時の評価は高かったのですが、なぜかその後再演されませんでした。


今回の主な上演情報は次の通りです。


作=木下順二 演出=丹野郁弓
2015年4月16日(木)~28日(火)
紀伊國屋サザンシアター(新宿駅南口下車)
キャスト
渋六……千葉茂則
奥方……日色ともゑ
飄風……和田啓作
ショー……塩田泰久
ノギ……吉岡扶敏
不敬漢……平松敬綱
文学士……天津民生
デブ……山本哲也
キリスト……齊藤恵太
二銭玉……武藤兼治
お婆さん……箕浦康子
奉公会……伊藤 聡
小僧……平野 尚
角袖……土井保宜
テの字(のちに、コの字)……新澤 泉
エンマ……飯野 遠
入場料
一般 6300円、夜公演4200円。
http://www.gekidanmingei.co.jp/2015fuyunojidai.html


*労働者運動資料室を通すと5700円の前売り券が入手できます。必要な方はお電話ください。佐藤礼二扱い(03-5226-8822)







2015年3月15日日曜日

労農派の歴史研究会第168回例会報告

 
テキスト・・『覇権経済のゆくえ』(飯田啓輔、中公新書)第一章


覇権と言うと、強いものが全体を牛耳るというイメージがわくと思います、事実、実質
はそのとおりなのですが、鰹済のいろいろな面には、それぞれに国際機関があり、一定の
ルールに基づいて、人がその期間を動かします。商品の生産、販売に強くても、それらの
期間を上手に動かす人材を育てないと、経済の秩序は保てませんし、覇権を握っていると
いう評価にはなりません。


 この本では、通商、通貨、金融、開発の四つの分野について、統括する機構を見ていま
す。全体として現在、「アメリカの覇権が衰えつつある状態である」ということは、多くの
人が一致していますが、それぞれの分野ごとに見るとどうなのか。日常的には、なかなか
そこまでは、分析できません。この著者は、アメリカの力の衰え、二番手、三番手の成長
ぶりを見ながら、-一応の評価をしています。


 経済力がつけば、政治(優れた政治家や官吏の育成)にも有利ですし、軍事力の強化に
もつながります。アメリカの圧倒的な力は、圧倒的な経済力に裏付けられていました。こ
れからは、第二次大戦後のアメリカのような圧飼的な力をもつ国家は、なかなか現れない
でしょうが、そこに近づく国はでて来ます。中国がそうなるかどうか、この著者は疑問符
をつけています。


 覇権国にならなくても、経済の国際的な機構を動かす人材を多く育てることは、それぞ
れの国にも有利になることですから、日本がそのための取り組みを強めることも、無駄で
はないと思います。いずれにしても、国際経済を動かす際に必要な諸機構の役割を知り、
そこで役に立つような知識の地区制、人材の育成には、ちゃんと予算を配分しておいたほ
うが良いのではないかと思われます。

2015年3月7日土曜日

2014年度山川菊栄賞推薦の言葉

●平井和子『日本占領とジェンダー』推薦の言葉
 女性史が女性の痛覚に根ざすものだとすれば、日本の女性史研究には大きな欠落があった。もっとも痛苦にみちた売買春問題について、当事者女性の目線にたった研究が極めて少ないからである。それは日本近代における<生殖=母性>と<快楽=娼婦>という女性の分断を、研究者自身も内面化していたからではないだろうか。
 本書において著者は、揺るぎないジェンダー視点に立つことでその分断を乗り越え、占領下の「パンパン」や基地売春を検証している。その結果本書は、日本女性史の欠落を埋めるだけでなく、歴史認識の問い直しをも迫るものとなっている。
 その1つは日本占領の評価である。これまでアメリカの占領政策は日本の「民主化」「女性解放」への意義を評価されてきた。しかし著者は、占領軍の性政策が戦力維持のための性病コントロールを中心とし、暴力的な女性の刈り込み等がくり返されていたことを明らかにする。「女性解放」はこうした女性の犠牲の上に成り立っていたともいえるのだ。
 こうした歴史認識の問い直しは現在的な問題でもある。現在の「イスラム国」問題は21世紀に入ってのアメリカのイラク攻撃に端を発するが、著者が言うように、それは日本占領を「民主化」成功のモデルとしてなされたのだ。著者の歴史をみる姿勢には、つねにアクチュアルな視点が貫かれている。
 第2に、売春防止法体制の問い直しである。占領軍の性政策には、日本の女性リーダーたちもかかわっていた。彼女たちは「パンパン」取締りを推進する一方、米兵のための「母の家」設置につとめるものもいた。ここには<母性>による<娼婦>差別がある。それは1956年制定の売春防止法にも貫かれ、現在も生きている。本書には売春防止法改正案が具体的に提起されている。
 3つ目は「慰安婦」問題における日本特殊性論の否定である。これには危険がつきまとう。橋下発言にみられるように、軍隊の性問題は日本だけではないとして「慰安婦」問題を否定する声が高まっているからだ。もちろん著者はそうした声には与しない。彼らが前提とする本質主義的な男性性欲論を「神話」として否定し、「軍隊と性暴力」問題としてグローバルな視野で検討することを提起している。
 いずれも論議を呼ぶ提起だが、研究方法はあくまで緻密な実証主義にもとづいており、説得力をもつ。かといって冷たいアカデミズム歴史学に堕しているわけではない。当事者女性との直接的な出会いはないものの、周辺からの聞き取りなどにより、痛苦な日常をたくましく生きる女性の姿も浮かび上がる。
 著者はシンシア・エンローによって、女同士の分断こそが軍隊を支えるという。本書が売春や「慰安婦」問題における二項対立を解きほぐし、新しい地平を開くことを願う。
(加納実紀代)

●推薦の言葉 『中絶技術とリプロダクティブ・ライツ―フェミニスト倫理の視点から』
                       

塚原久美さんの本は、中絶をめぐる問題にフェミニスト倫理の視点からアプローチする屈指の研究書です。私はこの本を読んで、自分の認識不足を恥じ、塚原さんの誠実な研究姿勢と明晰な分析力に深く感動しました。この本を読むまでは、中絶問題は論じ尽くされたかの感があり、「胎児の生命」対「女性の権利」という二項対立の問いの構図を避けられないものと思っていました。塚原さんは、本書を通じて、この問い自体が、中絶を受けている女性たちの現実の姿や中絶医療の実態を考慮しない抽象論だということを、説得力をもって立証しています。
日本の女性は「安易に」中絶をしているかのように言われてきました。しかし、日本の中絶医療は、リスクの低い吸引中絶(VA)や内科的中絶(MA)ではなく、D&Cやサリン法など「危険な中絶手術」が圧倒的多数で、「ガラパゴス化」しています。それというのも刑法に堕胎罪があり、唯一、母体保護法において指定された医師のみが中絶医療を独占的に実施することを許されてきたからです。塚原さんは、指定医らの都合のみが優先され、女性ケアの観点を軽視した中絶医療が改善されずに長年用いられてきた実態と、この医療分野の遅れを支えてきた法制度上の問題点を、あざやかに描き出しました。
フェミニスト倫理の視点からは、女性たち自ら意思決定しうる「エンタイトルメント意識」が重要ですが、現実には、堕胎罪と母体保護法のダブルスタンダードによって、産む責任を女性に負わせながら、「堕ろす」ことが断罪されてきました。女性たちはスティグマにまみれた中絶に関して「権利」を主張しにくくなり、母体保護法改正反対運動も「実質的な中絶の自由」という最小公約数の要求で法改正を阻止するのみに留まってきたのです。塚原さんは、これに対して、安全な方法でパラメディカルに中絶処置を移行させ、国際的に推奨されている方法を導入することは急務だと指摘します。法的にも、刑法堕胎罪を廃止し、女性自身を罰する条項を削除し、母体保護法に身体的健康上の理由のみならず精神的健康上の理由も加え、経済条項削除の代わりに妊娠初期の中絶を女性の要求に基づき認める条文を追加し、配偶者の同意権要件を削除すべきという構想を示します。
 「国家による出産強制」である刑法堕胎罪が廃止されなかった要因は、「胎児対女性」の二項対立論にとらわれてきた従来の中絶論にもあり、これが「中絶を受ける女性は罪深く身勝手」だという見方を広めてきました。そして実は、リブ時代を生きてきた女性たちも、生命倫理学の研究も、この枠組みから抜け出せなかったのではないか。このような塚原さんの指摘は、圧巻です。私たちはそこから脱却するためにも、中絶を受けている女性の現実や中絶医療の実態に目を向ける必要があるのです。
              (浅倉むつ子 山川菊栄記念会選考委員)

2015年3月6日金曜日

2014年度山川菊栄賞授賞式報告

労働者運動資料室中村ひろ子理事より、2014年度(第34回)山川菊栄賞受賞式報告が届きましたので掲載します。文中にもあるように、山川菊栄賞は今回で終了です。
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2月28日(土)午後、東京神田の韓国YMCAで、第34回山川賞の贈呈式が行われた。最後となる今回の対象者は、平井和子さんと塚原久美さんのお二人である。


平井さんのご本は『日本占領とジェンダー―米軍・売買春と日本女性たち』(有志舎、2014年8月刊)。
加納実紀代さんの推薦の言葉を借りれば、「女性史が女性の痛覚に根差すものだとすれば、日本の女性史研究には大きな欠落があった。もっとも痛苦に満ちた売買春問題について、当事者女性の目線に沿った研究が極めて少ないからである。それは日本近代における<生殖=母性>と<快楽=娼婦>という女性の分断を研究者自身も内面化していたからではないだろうか。本書において著者は、揺るぎないジェンダー視点に立ってその分断を乗り越え、占領下の『パンパン』や基地売春を検証している。その結果本書は、日本女性史の欠落を埋めるだけでなく、歴史認識の問い直しを迫るものとなっている」という画期的なもののようだ。

平井さんの記念スピーチは「日本占領から問う『軍隊と性暴力』の共生関係」というテーマ設定だったが、その研究に至るまでの、平井さんの個人史が圧倒されるものであった。大学では地理を専攻し、地球儀を眺めていれば幸せだったので、地盤整備の会社に就職。仕事が面白くのめり込んで、ロッカーに風呂道具を用意していたほど。あまりに多忙で一度仕事から離れたかったのもあり、夫の郷里、静岡に転居。そこで押し付けられた嫁の役割に疑問を持ち、歴史を学ぼうと、大学院に。アルバイトの際見つけた御殿場町の売買春の実態を記した資料に触発され、研究を開始。同じ資料を男子学生は見過ごしたことも衝撃であり、自分の視点が定まったという。その後の研究の経過もいろいろ話されたが、対象作は15年間の集大成で、博士論文として書かれたものだという。疑問に思ったらすぐに研究に着手され、成果を蓄積されてきた、そのバイタリティのままに話されて、あっという間に時間が過ぎていた。


もう一方の塚原さんのご本は『中絶技術とリプロダクティブ・ライツ―フェミニスト倫理の視点から』(勁草書房、2014年3月刊)。

浅倉むつ子さんが「日本の中絶医療は、リスクの低い吸引中絶(VA)や内科的中絶(MA)ではなく、D&Cやサリン法など『危険な中絶手術』が圧倒的多数で、『ガラパゴス化』しています。それというのも刑法に堕胎罪があり、唯一、母体保護法において指定された医師のみが中絶医療を独占的に実施することを許されてきたからです。塚原さんは、指定医らの都合のみが優先され、女性ケアの観点を軽視した中絶医療が改善されずに長年用いられてきた実態と、この医療分野の遅れを支えてきた法制度上の問題点を、あざやかに描き出しました」と絶賛されている。

記念スピーチ「中絶のスティグマを超えてー中絶問題と日本のフェミニズム」も、塚原さんの個人史を展開された。ご本人からの手記をいずれ『社会主義』に掲載するので、詳細はそれに譲りたいが、「人生を充実させよう」「死ぬ瞬間に満足していたい」という姿勢には圧倒された。翻訳を仕事とする中で出会った中絶に関係する文献を追いかけ続けて、これだけの大著にまとめあげられたのである。そしてそれは産婦人科学会で報告されるほどの、学識に裏打ちされているのだが、これから先の改革は医療者が取り組むことであり、自分は中絶した女性たちのフォロー、メンタルヘルスをやりたいと心理学の大学院に入りなおし研究をされている。またその方面での研究成果が楽しみだと思ったのは私だけではないだろう。


さて、私、中村は、今回、以下のような事情で、受賞作品を事前に入手し、目を通していなかったことをお詫びしたい(このところの受賞作は大作のため、読んでも理解したと言えないものが多かったのだが…)。
山川菊栄記念会を設立した田中寿美子さんが亡くなって20年、命日の3月15日にブックトークを開催する。そのブック、井上輝子監修『田中寿美子の足跡―20世紀を駆け抜けたフェミニスト』(女性会議発行)を先日ようやく刊行することができた。本務の合間の編集に追われた4ヵ月だったが、監修の井上輝子さんは自ら執筆する傍ら、他の執筆者の原稿を読み、アドバイスされ、資料検索もされ、その合間に、この山川賞の選考に携わられていたのだから、頭が下がる。

なお、田中さんの足跡の一つに、売春防止の取り組みがあるが、今回の受賞者平井さんが、田中さんの労働省婦人少年局婦人課長時代のメモ資料を発掘され、関東学院大学図書館の厚意で、それに基づいて足跡をたどってくださっていることも付け加えておきたい。
いずれにせよ、山川賞の最後を飾るにふさわしい研究書であり、贈呈式だった。お二人とも、山川菊栄賞は目標だった、これまでの受賞作品に触発されて長年研究を続けてきたと話され、自分たちの研究成果のご本が、「最後に間に合った」と喜んでおられた。


でも、お二人のように、目標にされていた方は他にもおられたことだろう、というのが頭をよぎったのも事実であり、残念だとも感じています。

選考委員の皆さん、ほんとうに長い間ご苦労様でした。これからは選考委員会ではなく、山川菊栄記念会として、顕彰活動を続けていくことになっています。それらも随時報告していければと思っています。

2015年3月5日木曜日

2014年度山川菊栄賞選考経過報告


2014年度山川菊栄賞選考経過の報告

                        2015228

                               井上輝子

 

すでにお知らせしてありますように、今日は山川菊栄記念婦人問題奨励金(通称山川菊栄賞)の最後の贈呈式となります。山川賞の選考を打ち切るに至った事情や、今後の山川菊栄記念会のあり方等については、この会の最後にやや詳しくお話することにして、今は今年度第34回山川賞の選考経過についてお話したいと思います。


今回は、20138月から20148月までの期間に刊行された著作物を対象として、昨年8月に、各種新聞に掲載を依頼すると共に、ハガキ送付やメーリングリストなどを通じて、広く推薦作品を募集しました。その結果、別刷リストにありますように、自薦・他薦を含め、45点の作品をご推薦いただきました。


このリストを基に、記念会では昨年923日と111日の2回にわたって選考委員会を開催し、慎重審議の結果、平井和子さんの『日本占領とジェンダー―米軍・売買春と日本女性たち』と、塚原久美さんの『中絶技術とリプロダクティダクティヴ・ライツ―フェミニスト倫理の視点から』の2作品に、今年度の奨励金をさしあげることに決定しました。決定に至るまでの選考委員会での議論の経過と、今年度の推薦作品の傾向、また特に注目された、いくつかの作品について、ここで簡単にご紹介させていただきます。


リストにありますように、今年度も多方面な分野の、しかもレベルの高い研究が数多く寄せられました。中でも例年になく今年度目立った研究領域を、2つほど紹介したいと思います。1つは、女性の性と生殖に関わる領域の研究が多かったことです。奨励金をさしあげるお二人の研究もそうですが、ほかにも15.小浜正子・松岡悦子編『アジアの出産と家族計画-「産む・産まない・産めない」身体をめぐる政治』、16荻野美穂『女のからだ―フェミニズム以後』、21角田由紀子『性と法律―変わったこと、変えたいこと』、また12非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループ+長沖暁子『AIDで生まれるということ』も、この領域の作品に入れてよいと思います。


第2の領域として、セクシュアル・マイノリティ問題の研究があります。5三部倫子『カムアウトする親子―同性愛と家族の社会学』、11Gay Japan News 共同代表 山下梓『レズビアン・バイセクシュアル女性、トランスジェンダーの人々からみた暴力―性的指向・性別自認・性別表現を理由とした暴力の経験に関する50人のLBTへのインタビューから』、22クレア・マリー『「おネエことば」論』などがあります。また23大越愛子・倉橋耕平編『ジェンダーとセクシュアリティ―現代社会に育つまなざし』は、今挙げた2つの領域にまたがる論文集です。


このほか、例年同様、歴史分野の作品も数多く推薦されました。平井さんの作品もそうですが、6関口すみ子『菅野スガ再考―婦人矯風会から大逆事件へ』は、菅野スガのイメージが、男を惑わす「妖婦」として仕立て上げられていった過程を明らかにしたすぐれた言説分析です。同じ著者による7『良妻賢母主義から外れた人々』、8伊藤セツ『クラーラ・ツエトキン―ジェンダー平等と反戦の生涯』も、歴史研究です。18榊原千鶴『烈女伝-勇気をくれる明治の8人』は、山川菊栄の母青山千世に始まり、山川菊栄に終わる興味深い人選です。19伍賀偕子『敗戦直後を切り拓いた働く女性たち―『勤労婦人聯盟』と「きらく会」の絆』は、戦後の女性組合運動の貴重な記録です。その他、28進藤久美子『市川房枝と「大東亜戦争」』、29吉良智子『戦争と女性画家―もうひとつの近代美術』、30加藤千香子『近代日本の国民統合とジェンダー』、32松村由利子『お嬢さん、空を飛ぶ』、34松原宏之『虫喰う近代―1910年代社会衛生運動とアメリカの政治文化』、38森杲(たかし)『アメリカ<主婦>の仕事史』、39大森真紀『世紀転換期の女性労働』、43三成美保・姫岡とし子・小浜正子『歴史を読み替える―ジェンダーから見た世界史』、44安川寿之輔『福沢諭吉の教育論と女性論』など、歴史研究が数多くノミネートされました。


このほか、選考委員会で話題になった作品として、2園部裕子『フランスの西アフリカ出身移住女性の日常的実践―社会・文化的仲介による「自立」と「連帯」の位相』、これはフランスの旧植民地西アフリカ出身の移民女性たちのライフヒストリーと参与観察に基づく精緻な研究で、最近のフランスにおけるモスレム差別の問題などを考える上で、参考になる本です。また、3すぎむらなおみ『養護教諭の社会学―学校文化・ジェンダー・同化』は、経験的に多くの養護教諭が感じてきた、学校の中での被差別体験や学校の中での微妙な地位を読み解いた作品です。


さらに今年度特筆しておきたいのは、24高良留美子『世紀を超えるいのちの旅―循環し再生する文明へ』、45堀場清子『鱗片 ヒロシマとフクシマと』など、フェミニズムの大先輩たちが、新たに素晴らしい本を刊行されたことです。

この調子で紹介していくと、なかなか贈呈作品に行きつかないので、先を急ぎますが、いかに多様な素晴らしい作品が昨年度刊行されたかということがわかっていただけると思います。45点の作品の中から、第1回選考委員会では、
4平井和子さん、14塚原久美さん、29吉良智子さんの3作品について、第2回の選考委員会で詳しく検討することにしました。なお、言い忘れましたが、作品番号は、推薦が届いた順番にナンバーをつけたもので、評価とは関係ありません。これからお話いただくお二人の順番も、この作品番号の順にお願いしてありますので、念のため。



吉良さんの作品は、従来ほとんど知られていなかった、近代日本の女性画家たちの足跡をたどり、日本の美術史をジェンダー視点で読み解いた労作です。戦争中、女性画家も「女流美術奉公隊」を結成して戦争に協力しましたが、その総力を結集して描き上げた巨大な「大東亜戦皇国婦女皆働之図」を詳しく分析しています。とても興味深い本ですので、美術史に関心のある方には、ぜひ一読を薦めたいと思います。この作品で、吉良さんは、第29回青山なお賞を受賞されたと聞いています。


吉良さんの作品も、新しい分野に挑戦した価値あるご研究だと思いますが、選考委員会では、今日おいでくださっている4平井和子さんの『日本占領とジェンダー』と、12塚原久美さんの『中絶技術とリプロダクティダクティヴ・ライツ』の2作品に、今年度の奨励金をさしあげることに決定しました。お二人の作品については、この後、加納さんと浅倉さんから、それぞれ詳しい推薦の言葉がありますので、私の方からは、ごく簡単に、2作品の内容を紹介させていただいて、選考経過の報告を終わりにしたいと思います。


 平井さんのご本は、敗戦後の占領軍向けの「慰安所」と米軍基地売春の実態を、膨大な史料や聞き取り調査に基いて詳しく分析した研究です。特に、米軍によって接収された東富士演習場近くの御殿場をフィールドとした、地方都市における、行政・業者・警察・地元民と「パンパン」との関係の具体的描写は圧巻です。平井さんは、日米合作で、被占領女性への徹底した性管理と性病対策等がなされた事実を明らかにする一方で、1956年成立の売春防止法制定過程や売春防止法の枠組みに批判的なメスを入れておいでです。


 塚原さんのご本は、1970年代以後の中絶技術の進展によって、欧米諸国ではすでに
妊娠初期の中絶方法として、吸引と中絶薬が一般化しているにもかかわらず、日本では今でも拡張掻爬術が主な中絶手段となっているという衝撃的な事実を紹介した意欲的な作品です。塚原さんは、日本における「遅れた技術」が、中絶の残虐性イメージや中絶罪悪視の原因となっており、刑法堕胎罪の規程を補完していることを指摘し、現行法体制の抜本的改革と、当事者である女性たち自身の中絶についてのフェミニスト倫理の構築を訴えておいでです。


 お二人とも、女性の身体やセクシュアリティの権利と健康に迫るテーマで、今私たちが考えるべき課題を提起しておいでです。ぜひ多くの皆さんに読んでいただきたいと思います。お二人のスピーチの後、会場の皆さんを含め、お二人の話に対する感想や、女性の身体やセクシュアリティをめぐって、取り組むべき課題などについて、活発な討論ができればうれしく思います。


平井さん、塚原さん、おめでとうございます。

2015年3月1日日曜日

『社会主義』2015年3月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。


横田昌三■新自由主義的自治体再編狙う「地方創生」


特集 「没後30年 向坂逸郎の思想に学ぶ」(下)
松永裕方■構造改革論争と「日本における社会主義への道」
佐藤保■社会主義協会の労働者運動強化と「協会規制」
山崎耕一郎■向坂逸郎の統一戦線論
小島恒久・和気誠ほか■座談会   向坂逸郎の思想とは何か その実践と思い出を語る


坂本聡■松戸市議選(中間選挙)をたたかって
村上すすむ■震災復興の現状と課題
宮崎正利■塙町木質バイオマス発電施設計画白紙撤回の闘い
角田政志■原発事故と子どもたちの生活、教育、健康
仲田信雄■政策失敗とり繕う大規模予算 2015年度予算の特徴
川上登■2015年度地方財政の課題

2015年2月28日土曜日

資料室サイト更新

相当長期にわたって更新が滞っていましたが、二月二八日以下のページを更新しました。


●文献・資料に、社青同第35回大会宣言を追加しました。写真付きです。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~rounou/lsy_003.htm


同じく文献・資料に、社青同第35回大会決定・基調を追加しました。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~rounou/lsy_004.htm






●リンク集に、佐藤あずさ、キョーコ式ランドスケープ(伊地智恭子)、千葉義浩を追加しました。一部の消滅HPを明示しました。労働資料協のリンク先を変更しました。


労農派の歴史研究会など、補充しなければならないページもあります。これから少しずつやっていきます。





2015年2月20日金曜日

労農派の歴史研究会第167回研究会報告

 この報告をまとめた「日本再建イニシアティブ」というシンクタンクは、この報告と『福
島原発事故独立検証委員会調査・検証報告書』で実績をつくり、世界のシンクタンクラ
ンキングで24位になったと、「おわりに」に書かれている。日木では、国家・各省庁や企
業から独立したシンクタンクというのは少ないから、こういうものができるのは良いこと
である。


 ただ、気になるのは、肝心の民主党がここで書かれているような反省点を、どこまで自
覚しているかということである。たとえば、政策を出しても、それを実行する際の実務に
ついても理解し、細部について優先順位を理解しながら実行に移すような能力を持った政
治家と実務者を育てなかったら、どんな良い政策も現実政治に生かされない。自民党政権
は、戦後一貫してその点は官僚に頼ってきたのだが、民主党はどうするのか。さきの政権
では、「官僚でなく、政治家が決める」と宣」’して政権の座について、挫折した。同じ失敗
を繰り返さないようにする準備は、できるのだろうか。それができそうだと周囲か判断で
きれば、民主党への支持がまた徐々に高まるだろう。民主党だけでなく、杜民党も、ある
いは政界再編があれば新たにできる政党も、同じである。


 現在、東京の都心部の本屋さんでは、フランス人のピケティの苦書(『21世紀の資本』
『新一資本論』好調に売れている。資本主義の中枢にいる大びとがパこのまま行けるのか」
に疑問を持っているから、そういう現象が起こるのではないかと思われる。そういう状況
だから、政治の変化も必ず起こるだろう。そのときに力を発揮できるためには、いろいろ
な準備が必要であり、政権担当能力もその一つであるだろう。

2015年2月1日日曜日

『社会主義』2015年2月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。


■新春座談会 2015年の経済・政治・労働情勢と闘い
特集 没後30年 向坂逸郎の思想に学ぶ (上)
小島恒久■労農派マルクス主義と社会主義協会
山藤彰■世界に先駆けた平和革命論の提唱
善明建一■向坂逸郎と「左社綱領」論争
和氣誠■『資本論』をどう読むか


足立康次■2015春闘各産別の方針(案)から
藤田研一■成果主義・実績に基づく人事処遇制度の問題点
橋本勇■新たな賃金制度といかに闘うか
-公的部門労働者の実態と課題-
■資料 経団連「2015年版経営労働委員会報告」に対する連合見解(抜粋)
金子哲夫■批評 向き合おう敗戦・被爆70年

2015年1月31日土曜日

清風堂書店で『社会主義』を販売

関西地区では1998年の社会主義協会分裂以降『社会主義』を販売している書店がありませんでしたが、このたび大阪地下鉄東梅田駅そばにある清風堂書店が二月号から販売することになりました。関西地区における社会主義理論の普及が少しでも進むことを願っております。


清風堂書店HP
http://www.seifudo.co.jp/

2015年1月30日金曜日

民社党結成にCIA資金

ちょっと旧聞ですが、1月18日付共同通信記事「左派弱体化へ秘密資金 米CIA、保革両勢力に」によれば、1960年の民社党結成にはCIAの秘密資金提供があったことが、情報公開で明らかになったとのことです。
http://www.47news.jp/CN/200607/CN2006071901000837.html


戦後政治の転換点にアメリカの資金援助を含めた働きかけがあったのではという疑惑は、これまでも指摘されてきましたが、今回は情報公開によるアメリカ政府の公式文書でこの疑惑は事実だったことが裏付けられました。

2015年1月1日木曜日

『社会主義』2015年1月号目次

一冊600円。ご注文は社会主義協会本部へ。紀伊國屋書店新宿本店でも販売しています。


善明建一■自公大勝 「アベノミクス選挙」戦略が功を奏す
特集 世界と日本の経済・政治・労働
北村厳■世界経済はバブル化加速局面か
松谷信■景気低迷下の欧州労働組合
鎌倉孝夫■安倍政権の「この道」がもたらすもの
小笠原福司■労働者状態の特徴と労働運動の課題
2015年を迎えて 安倍反動政権と対決する幅広い戦線を
吉田忠智(社民党) 古賀伸明(連合) 氏家常雄(自治労) 高野苗実(国労)
高橋広子(I女性会議) 近藤和樹(社青同) 小川研(労大)
芳賀和弥■米国中間選挙 民主党大敗北の背景,
脇本茂紀■統一自治体選挙の前哨戦に勝利
足立昭二■地域医療を守る取り組み
阪本博■関西資本論研 全三巻の学習を終えて
森岡康司■産別統一闘争の再構築が課題