2012年9月17日月曜日

労農派の歴史研究会第142回例会報告

  「Ⅲ 社会党的政治勢力の組織的性格」のなかに労農派マルクス主義について、「革命に行かに接近していくかという移行過程の組織論と政策体系に乏しく、革命の客観的条件が熟するまで学習会を組織し、労働組合を組織し、政治的には当面の改良的政策要求を闘うことが主張されているだけである。」(110頁)という記述があり、報告者も引用していて、若干話題になりました。たしかに、われわれは学習会には熱心で、移行過程の組織論と政策体系の議論には不熱心でした。

 社会党や総評の基礎的な組織(支部、総支部、労組の分会、支部など)を強くするには、学習会の継続が一番効果的でした。「移行過程の組織論と政策体系」などに熱心であると、どうしてもメンバーが偏り、広がりませんでした。清水慎三の批判に当たっているところもあったのですが、他方で、社会主義協会員が中心にいる組織が、今でも(かなり小さくはなったが)残り、清水理論の信奉者が、優秀なメンバーをそろえていたのに分解してしまったという事実を、見ておくことも必要です。

 もちろん問題は二者択一ではなく、基礎的な学習や組織作りを継続しながら、移行過程の研究・検討もこなすことは必要です。現在の運動では、どちらもきわめて細くなってしまっているので、大事に育てないといけません。このあたりは、次回のテーマでもあります。

 清水慎三という人は、50年代に、鉄鋼労連、総評、社会党の役員をし、その後は理論・評論活動に移ったのですが、社会主義協会、労働大学、社青同などとは「近いが、ちょっと違う」という関係でした。80年代以降にどういう考えであったかは、『社会的左翼の可能性』(発行・新地平社、発売・れんが書房新社)で、いろいろ語っています。そのなかで 「中衛(前衛でなく後衛まで後退しない)機能をもった『社会的左翼』を」と言っているので、いろいろと総括したのではないかと思われます。

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