2013年5月10日より21日まで、中国社会科学院マルクス主義研究院訪日団金民卿団長ほか一行計五名が、社会主義協会の招待で訪日し、東京、名古屋、関西を訪問、現代中国研究者と交流したほか、各地を視察しました。これは、社会主義協会が2001年より続けているマルクス主義研究院との交流(前身のマルクス・レーニン主義毛沢東思想研究所時代を含む)の一環です。一部の訪日団メンバーは、17日、18日三重・ヤマギシ会本部を訪問しました。
このうち、5月12日(日)には、東京・水道橋グランドホテルで社会主義協会との理論交流がおこなわれ、午前10時から午後5時半まで、事前に双方から出された質問事項に基づき、熱心な討論が行われました。
双方の質問事項は、次の通りです。
●社会主義協会からマルクス主義研究院への質問事項
1.中国共産党18回大会および第12期全人代、政治協商会議の基本特徴
今後も高経済成長を追求するのか
指導部人事について、「改革」「保守」の路線対立を反映していると日本のマスコミは報道しているが、それをどうみるか
2.中国社会の格差拡大の現状とそれに対する中国共産党・政府の対策
環境問題、労働者の賃金、労働条件、権利問題、都市と農村(戸籍問題を含め)、教育問題、医療、高齢化社会等具体的問題の現状と対策
3.国有企業改革の現状と今後
4.中国社会主義民主の現状
全人代の機能、広東省烏坎村・上浦村など
5.中国官僚層の腐敗発生の原因と対策
薄煕来事件など
6.中国の当面の外交政策
北朝鮮(特に核実験への見解)、ASEAN諸国、ロシア、アフリカ諸国、TPP、日本
●中国側質問事項
1.日本の学者の中国特色社会主義に対する認識
2.日本はどのようにして農民に社会サービスを提供しているか
3.日本の両極分化状況はどうか。日本のギニ係数はいくらか。
4.日本都市化の経験と教訓
5.日本の学者の毛沢東研究の最新状況
6.新自由主義の日本の学界での影響
7.日本の反腐敗機構、対策
交流は、善明建一社会主義協会事務局長との司会で行われました。中国側、日本側とも、一質問事項に一名が20分(通訳を含むので実質10分)で回答し、10分間討論するという形式です。双方とも率直に自己の見解を述べ、熱心な討論が行われました。『社会主義』8月号に理論交流の報告が載る予定ですので、ここでは詳細は省略しますが、たいへん有意義であったと思います。ただ、質問事項はかなり絞ったのですが、通訳を介しての交流ではやはり時間が足らず、一部の質問事項は時間切れになりました。次回はもう少し質問を絞る(日中とも各5問、計10問)必要があると思いました。
中国側も今回の訪日に満足していたようです。訪日団は21日に関西国際空港から無事に帰国しました。
*マルクス主義研究院との交流報告は、諸般の事情で『社会主義』2013年9月号になりました。
2013年5月22日水曜日
2013年5月19日日曜日
労農派の歴史研究会第149回例会報告
連合結成の後、90年代に入ると日本経済は長期の停滞期に入りました。多少は景気の波が上向いても、グローバル化で国内の生産・販売は伸びないので、労働者、とくに中小企業労働者には、厳しい状況が続きました。国内の工場、営業所の縮小、撤退が相次いだからです。そのために春闘においても、中小企業労組を多く抱える産別は、苦しい局面に立たされました。
レポートでも強調されたように、93年春闘で「中小連絡共闘会議」が発足し、94春闘では「中小運動センター」が新設され、95春闘では「中小共闘センター」になりました。
2000年代になると、パート、非正規労働者の増加が大きな問題になり、06年には「パート共闘」が設置され、07年には「連合非正規労働センター」「パート共闘」「パート共闘連絡会議」などが出来て、労働条件改善、組織化などに取り組みました。最低賃金の引き上げにもつながりました。
労働組合の力量を高めるために、未組織労働者の組織化にも、力が注がれました。それでも、組織率は上がらず、連合の組織数も徐々に落ちています。連合組織は最高時には800万人を超えたそうですが、リストラの連続で雇用者数が減ったためもあって、現在は700万人が目標です。
労働法制確立の取り組みも継続してきました。なかなか目に見える成果が上がらないのは事実ですが、取り組みの中軸になっているのは連合です。労働戦線再編成の議論が盛んであった90年代には、連合はすべて資本の言いなりになるかのような批判を受けましたが、労働者の意見がそれなりに反映されているのも事実です。問題はその「労働者の声」を、もっと強めることではないかと思われます。
レポートでも強調されたように、93年春闘で「中小連絡共闘会議」が発足し、94春闘では「中小運動センター」が新設され、95春闘では「中小共闘センター」になりました。
2000年代になると、パート、非正規労働者の増加が大きな問題になり、06年には「パート共闘」が設置され、07年には「連合非正規労働センター」「パート共闘」「パート共闘連絡会議」などが出来て、労働条件改善、組織化などに取り組みました。最低賃金の引き上げにもつながりました。
労働組合の力量を高めるために、未組織労働者の組織化にも、力が注がれました。それでも、組織率は上がらず、連合の組織数も徐々に落ちています。連合組織は最高時には800万人を超えたそうですが、リストラの連続で雇用者数が減ったためもあって、現在は700万人が目標です。
労働法制確立の取り組みも継続してきました。なかなか目に見える成果が上がらないのは事実ですが、取り組みの中軸になっているのは連合です。労働戦線再編成の議論が盛んであった90年代には、連合はすべて資本の言いなりになるかのような批判を受けましたが、労働者の意見がそれなりに反映されているのも事実です。問題はその「労働者の声」を、もっと強めることではないかと思われます。
2013年5月1日水曜日
『社会主義』2013年5月号目次
ご注文は社会主義協会へ。
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吉田ただとも■参議院選挙の争点と政策課題
善明建一■進む労働市場の流動化と規制緩和
佐藤保■日本国憲法が果たしてきた役割
大槻重信■せめぎ合う改憲と護憲
北川鑑一■労働法制の規制緩和は生存権侵害
中村元気■安倍・自民党「教育改革構想」の実態とねらい
平川則男■医療保険制度と日本国憲法
福原宗男■生活困窮者の増大と生活保護制度の実態
中島修■自民党の「日本国憲法改正草案」を読んで
津田公男■危険きわまりない安倍政権の軍事政策
崎山嗣幸■憲法と基地問題
小笠原福司■批評 アベノミクスと2013春闘
正田彰■思い出すことども 私と社会主義協会(十一)
瀬戸宏■重慶モデル・薄煕来事件とは何であったか
中村譲■古典を読む⑱ 10月革命前夜ー平和的発展と武装蜂起の「間」
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