*石河康国氏より『櫛田民蔵』(社会評論社)案内が寄せられましたので、転載します。
マルクスヘの道を
泥臭く歩み続けた
壮絶な生涯をひも解く。
石河康国/著
いしこやすくに 著書に『労農派マルクス主義 理論・ひと・歴史』(上・下巻) 「マルクスを日本で育てた人 評伝・山川均」(1・2巻)『向坂逸郎評伝』(上・下巻)など多数ある。
櫛田民蔵二八八五~一九三四)は、日本におけるマルクス経済学の開拓者である。その史的唯物論の探究は河上肇を曖目させ、大内兵衛をして業績を後世に伝えさせた。
ブルジョア経済学との論争の火ぶたを切ったのは民蔵である。小泉信三など最先端の面々を、ほとんど一人で相手取って価値論争を展開した。戦線は河上肇の「価値人類犠牲説批判」から、地代・小
作料をめぐって野呂栄太郎らへと拡大した。
櫛田民蔵が人々を惹きつけてやまないのは、マルクスへの道を泥臭く歩み続けたその人生である。一向に洗練されず、おもねらず、いわき地方の濃厚な土の匂いを感じさせ、マルクスと格闘した男の
壮絶な最期を、長谷川如是閑は「学徒としての殉職」と称しか。
主要目次
第1章 彷徨せる若者
第2章 社会政策のゆりかごの中で
第3章 古典派経済学とマルクス経済学
第4章『共産党宣言』と唯物史観に着目
第5章 河上肇の胸を借りて
第6章 唯物史観に沈潜
第7章 河上肇を越えて
第8章 マルクス派の分化のなかで
第9章 価値論争
第10章 河上肇との緊張と別れ
第11章 地代論争・小作料論争
第12章 早逝と定まる「値打ち」
A5判256頁 ISBN978-4-7845-1877-7
定価2750円(税込)