2011年6月26日日曜日

いいだももさんを偲ぶ会事務局への返信

「いいだももさんを偲ぶ会」が6月25日に開催されたようです。私はいいだももさんとは関わりがありませんでしたが、おそらく会員になっている「変革のアソシエ」の関係で偲ぶ会の案内が届きました。以下は、私が返信はがきに欠席の通知と共に記した内容です。6月6日に投函しました。扱いは事務局にまかせると書きました。その後事務局からは連絡がなく、会場で閲覧されたかどうかもわかりません。

あまり積極的な内容ではないので、私もこれぎりにしますが、いちおう公的なはがきに書いた内容ですので、ここに記しておくしだいです。(瀬戸宏)

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私はいいだももさんとは面識がありません。いいださんにはあまり好感を持っていません。それは、いいださんの著書『レーニン、毛、終わった』(論創社 2005.1)の李延明の項で、私の評論「李延明の社会主義論」を盗用されたからです。同書出版の直後に気がつきました。内容からも文章の発表時間(拙論は『社会主義理論学会会報』54号 2004.1掲載)からも、いいだ氏の盗用は明らかです。他人の文章に全面的に依拠しながら、典拠をあげないというのは、文筆家、知識人のモラルとしてどうかと思います。出版社等に訴えてもよかったのですが、李延明氏の思想の普及になるならと放置してきました。しかし案内をいただいたのを機に一言いわせていただく次第です。拙論は社会主義理論学会HPに掲載されています。
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私の「李延明の社会主義論」が掲載された『社会主義理論学会会報』54号URLは次の通りです。
http://sost.que.jp/media/myweb1014013.pdf

2011年6月24日金曜日

新社会党委員長選挙公報

選挙も終わりすでに歴史文書となった先日の新社会党委員長選挙公報を下記に転載しました。中央本部から配布された公報をpdfファイル化したものです。管理人の都合ですぐには本体を更新できないので、とりあえずここに転載します。ブログにはpdfファイルが掲載できないので、ジャストシステム・インターネットディスクを利用しています。
(リンク削除)

なお、転載にあたっては新社会党中央本部の同意を得ています。

*6月27日午前、新社会党本部役員より労働者運動資料室に電話連絡があり、転載同意は電話を受けた人の勘違いであり、党内文書の転載を党外団体に中央本部として認めるのは問題なので削除してほしい、とのことでした。残念ですが、著作権のある団体からの公式依頼ですので削除いたします。とりあえずリンクを切り、引き続きインターネットディスクを閉鎖します。(6月27日管理人記)

2011年6月20日月曜日

『「資本論」から社会の仕組みを学ぶ』紹介

 社青同関係出版物で、次の本を紹介します。
「資本論」から社会の仕組みを学ぶ
著者 川村訓史
発行:「青年の声」埼玉総局 2004年2月刊
〒330-0063 さいたま市浦和区高砂3-37-5埼玉社会文化会館一階
電話 048-824-6400 FAX 048-824-6597
e-mail seinen @mc.neweb.ne.jp
*スパンメール防止のため@の前を一字空けています。実際のメールアドレスには空きはありません。
A4版 134P
定価  1000円
印刷所 有限会社合谷印刷所 
「青年の声」連載を「青年の声」埼玉総局(社青同埼玉地本)が一冊にまとめたもので、膨大かつ難解な『資本論』の内容が二十六章に分けてわかりやすくまとめられています。著者の川村訓史氏は日本DDR友好協会、社会党・社民党埼玉県連を経て現在は国会議員秘書です。
刊行物に戻る
http://www5f.biglobe.ne.jp/~rounou/myweb1_007.htm

2011年6月19日日曜日

2011年6月18日サイト更新

文献・資料に、社青同全国学協再建総会議案を掲載しました。第二章の一部で、掲載未完です。今回は前回の更新から間がなく、一節ぶんしか追加できませんでした。原本がガリ版刷りなので手動入力するしかなく、時間がかかるのです。ご了解ください。
 
刊行物に『解題 マルクスの学説と三つの源泉』(えるむ書房)を追加しました。えるむ書房の近刊です。
 
労農派の歴史研究会に、第60回-第92回報告、第93回-第127回報告をpdfファイルで掲載しました。各報告を一つ一つこの新「管理人より」に転載するのは難しいので、残っている報告を一ページごとに1文書にまとめ、pdfファイル化しました。
 
山川菊栄賞選考理由等のURLを変更し、選考委員名簿を更新しました。URLの変更先はこのブログです。これで、6月末のさるさる日記廃止対策は終了しました。
 
社青同第32回大会宣言に大会写真をpdfで追加しました。この写真は三年前にいただいていたのですが、サイトのページ数が増えすぎたためか、htmlファイル化がうまくいかず、そのままになっていました。今回思いついて写真画像をpdf化し添付したところ、うまくいきました。掲載の遅れをお詫びいたします。
 

2011年6月17日金曜日

紹介 『解題マルクスの学説と三つの源泉』


マルクス主義理論研究会編
解題マルクスの学説と三つの源泉『マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分』
山崎耕一郎・川村訓史・善明建一著
2011年5月24日 第1刷発行
定価 1000円+税

えるむ書房   e-mail :elmshobo●d2.dion.ne.jp *●を@に替えてください

〒102-0072  東京都千代田区飯田橋1-8-8  ASKビル402号
電話 03-3221-7882
FAX 03-3221-7897

発刊にあたって
 ここ数年、マルクスの『資本論』に関する著書が、書店の新刊コーナに並べられて、売れ行きは良いようである。そのタイトルは「超訳『資本論』」、「マルクスだったらこう考える」、「超人門『資本論』」、「マルクスのかじり方」、「高校生からわかる『資本論』」など様々であるが、その内容はマルクスは何をした人か、から『資本論』第一巻のエキス部分を取り上げ、解説したものなど幅が広い。その著者たちの意図で共通していることは、最近、マルクスに関心を持ちはじめた人、かつて関心を持っていた人に対する『資本論』の学習の薦めである。
 ソ連・東欧社会主義が崩壊してから二〇年が経過するが、「社会主義世界体制」の崩壊は、日本の労働者運動にも強い影響をもたらし、大衆的には社会主義を主張することさえ「自粛」させられるまでに後退したことは否定できない。
 だが二〇〇八年秋のリーマンショックを契機に発生した世界金融恐慌は、資本主義とは何かを多くの労働者に考えさせるようになっている。将来を担う若者は、学校を出ても多くの人が正社員として就職できず、ワーキングプアといわれる非正規労働者で雇用されるしかない。景気が回復し、企業の業績が上がっても、賃金はあがらず、長時間労働で過労死、うつ病など精神疾患、健康破壊、そして、失業者の増大は止まらず、生活苦による生活保護世帯は増え、また自殺者の増大など、労働者の生活の不安定さは増大している。
 少子高齢化社会の到来で、年金、介護などの社会福祉が切り下げられ、公的機関のサービス切り捨てで、地方の疲弊も著しく、老後の生活不安は増大する一途である。こうした国民生活・労働者状態の悪化は、「あくなき利潤」を求めてやまない独占資本の体制的合理化の結果であり、誰もがこうした社会、そして資本主義の剥き出しの姿に疑問を持ち始めている。
 かつては、労働組合でマルクス経済学を中心とした学習会が組織され、労働者としての物の見方、考え方を確立していくことが重視されていたが、この二〇年は、すっかりその様相は変わってしまったと指摘されてから久しいものがある。
 だが最近は、われわれの実践の中でも学校を出て新人社員となって働きはじめた人、そして入社して三~四年経った人などの中に、学習会に参加してみたいという人が増えていることを実感できるようになっている。本書は、そうした労働者の中に生れている前向きな気運に後押しされて、企画され、発刊したものである。
 マルクス、すなわちマルクス主義を学ぶためには、『資本論』を外に置いてはないのであるが、それは将来、挑戦していただくことにして、本書では「マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分」(レーニン著)、すなわち、ドイツの古典哲学、イギリスの古典経済学、フランスの社会主義思想を取り上げて、マルクス主義とは何か、マルクス主義1科学的社会主義はどのようにして成立したかを「解題」したものである。
 もちろん、本書はその「解題」にすぎない。マルクス主義=科学的社会主義を本格的に学習するには、『共産党宣言』、『空想より科学へ』、『賃労働と資本』、『賃金、価格および利潤』、『フォイエルバッハ論』などの古典を使った学習会でマルクス主義の基礎理論を身につけてほしい。
 そういう意味で本書は、それらを学習していくための事前準備、整理をしたという位置づけになるものである。
 そこであえて強調しておきたいことは、われわれの学習は独習が基本であるということである。その上で仲間との組織的な学習会が必要である。その逆でも構わないが、どちらにしても独習が基本である。独習を補い、よりマルクス主義理論と思想の理解を深めるために仲間との組織的な学習、交流が必要なのである。
 本書の発刊を契機にマルクス、エングルスなどの古典学習会が、全国で無数に組織されることを期待するものである。そのことが結局、マルクス主義の現代的意義、そして今日の労働者運動の実践的活動についての確信を広げることになると考えるからである。
                                                                  二〇一一年五月
                                                          マルクス主義理論研究会
                                                                               
目次
発刊にあたって
マルクスの学説と三つの源泉
 「マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分」
   はじめに
第一章 唯物史観の確立とマルクスの定式
第一節 百科全書派の闘いと唯物論
― 中世までは観念論が支配的
2 「百科全書派」の活動が力関係を変えた
3 妥協せずに科学的知識を広めた
第二節 ヘーゲルによる弁証法的な歴史観
1 苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)、贅沢と浪費
2 「総括された歴史」を説いたヘーゲル
3 矛盾に基づく発展の理論
4 ヘーゲルはなぜ労働者農民が立ち上がるかを理解できない
5 西欧では『対立物との共存』は当たり前
第三節 フォイエルバッハとカントについて
 1 宗教は人間が自己自身と分裂したもの
 2 カント対ヘーゲル
 3 理性を疑うことは必要
 4 カントも読んでみよう
第四節 弁証法の法則、ヘーゲルとエングルス
 1 エングルスが整理した弁証法の三法則
 2 量から質への急転換、その逆
 3 対立物の相互浸透
 4 否定の否定
 5 図式主義は弁証法の敵
第五節 『共産党宣言』第一章
 1 世界に発した革命の宣言
 2 書かれた歴史はすべて階級闘争の歴史
 3 ブルジョア階級の革命的役割
 4 ソ連・東欧社会主義が崩壊しても階級闘争
第六節 マルクスの史的唯物論の要約
 1 マルクスによる史的唯物論の要約
 2 社会の発達は物質的生産力の発展段階に対応する
 3 生産諸条件の物質的変革と上部構造の変革
 4 現在の日本は上部構造の変革が遅れている
 5 資本主義は社会的生産過程の最後の敵対的形態
第七節 資本主義も社会主義もワンパターンではない
 1 各国どこも歴史の上に現在がある
 2 少数の占領者による暴力的支配でスタート
 3 異民族、異論を持つ人々との共存の経験
 4 現在の日本は上部構造の進化が遅れている
 5 過去の社会主義も建設を画一化して失敗
 6 新自由主義による画一化も失敗
 7 冷戦の「勝者」の側も随所で崩れている
 8 「否定の否定」は起こるのか
第二章 古典派経済学とマルクス経済学
第一節 マルクスの経済学研究
 1 マルクスが経済学を研究した理由
 2 経済学の役割
第二節 古典派経済学
 1 古典派経済学とは
 2 古典派経済学とマルクス
 3 古典派経済学の創始者
   《ウイリアム・ペティ(一六二三上六八七年)》
 4 重農学派
   《フランソワ・ケネー(一六九四大七四四年)》
 5 イギリス古典派経済学
 (1) アダムースミス(一七二三~一七九〇年)
 (2) デビッドーリカード(一七七二~一八二三)
第三節 資本主義的生産様式の法則性を明らかにした 『資本論』
  1 『資本論』が明らかにしたこと
  2 『資本論』で分析された資本主義的生産様式とは
  3 『資本論』の構成
  (1)第一巻で明らかにされること
  (2)第二巻で明らかにされること
  (3)第三巻で明らかにされること
  (4)全巻を読もう
第四節 剰余価値学説はマルクス主義の土台
 1 資本主義的生産の目的は価値増殖
 2 価値増殖の秘密
 3 労働力の価値はどのように決まるか
第五節 資本蓄積がもたらすもの
1 生産は継続し、拡大されなければならない
2 拡大再生産によって生じる変化
 (1) 所有と労働が分離する
 (2)資本の蓄積と労働力に対する需要の関係
 (3) 生産性の発展による労働力の削減
3 資本の運動の調整弁としての相対的過剰人口
4 資本主義的生産と恐慌
第六節 資本主義的蓄積の一般的法則と労働者の闘い
1 資本主義的蓄積の一般的法則とは
2 マルクスの真意は
3 窮乏化法則の作用と反作用
4 『資本論』における賃労働と資本の関係と、その現象形態
5 窮乏化の原因をどう具体的に明らかにするのか
6 窮乏化法則への自然発生的な抵抗は
第七節 公務員労働者はどのように搾取されているか
 I あらためて搾取とは何かを考える
 2 労働が生産物に結実しない労働者はどのように搾取されるか
 3 公務員労働者の労働はどのような役割を果たしているか
 4 公務員労働者も搾取されている
第八節 賃金闘争の意義
   1 賃金は自動的には決まらない
   2 なぜ資本は賃金を削減しようとするのか
    (1)競争の激化によるコスト削減競争
    (2)利潤率が低下する
    (3)賃金削減によって利益をだす
   3 賃上げで社会・経済を建て直す
第三章 空想的社会主義と科学的社会主義
 第一節 三人の偉大な空想的社会主義者
  I 空想的社会主義
  (1)サン・シモン(一七六〇~一八二五年)
  (2)フーリエ(一七二二~一八三七年)
  (3)ロバートーオーエン(一七七一~一八五八年)
2 空想的社会主義者の限界性
第二節 資本主義の発展と科学的社会主義の道
1 科学的社会主義
2 労働者階級の火態が社会運助の地盤であり出発点である
3 階級闘争の正体は剰余価値
4 生産力と生産関係の矛盾で社会は発展する
5 資本主義社会で周期的に発生する恐慌
6 資本主義の胎内に社会主義の物質的条件を準備する
 (1)労働者階級の歴史的使命
 (2) 自由の王国への人類の飛躍
第三節 労働者階級と平和革命の展望
 1 プロレタリアート独裁の本質
 2 平和革命と労働者階級の役割
 3 反独占統一戦線運動と連立政権
   (1) 反独占統一戦線の性格
   (2)新自由主義と闘う政治勢力の結集
第四節 社会主義は資本主義に負けたのか
I ソ連・東欧社会主義崩壊の総括を
2 資本主義は人類最後の体制ではない

2011年6月16日木曜日

新社会党委員長選挙結果

新社会党中央本部からの通知によると、投票率は77.9%、得票率は松枝候補74.7%、江原候補20.3%、白票3.8%、無効1.2%とのことです。得票数については非公表とのことです。
当選は松枝候補になります。

2011年6月15日水曜日

鎌倉孝夫報告「朝鮮式社会主義の思想と現実」を聞く

社会主義理論学会第58回研究会としておこなわれた鎌倉孝夫さんの報告「朝鮮式社会主義の思想と現実」を聞きました。私は当日の司会も担当しました。
 休憩を挟んで約二時間におよぶ鎌倉さんの報告を要約するのはたいへん難しいのですが、私の理解では次のようなものです。

 まず最初に、チュチェ思想はスターリニズムを乗り越えようとする志向が明確にあることが指摘されました。ただし『資本論』の理解は不十分とのことです。
 続いて、金正日の論文「社会主義建設の歴史的教訓」(1992)を紹介するかたちで、北朝鮮のソ連崩壊論を分析します。
 報告によれば、ソ連崩壊は社会主義そのものの崩壊ではない。また金正日論文は「ソ連社会主義崩壊」ではなく、「ソ連社会主義挫折」としてるとのこと。そして「挫折」の原因は、社会主義の本質を「人民大衆」を中心に理解していなかったこと、マルクス主義の歴史的制約-革命後の社会主義建設は示されておらず、そのため教条主義(スターリニズム)と修正主義(社会主義の「原則」放棄、思想の自由・多元主義、市場経済導入)の双方が生じたこと-にあるとしているとのことです。

 次に、朝鮮社会主義-チュチェ思想に基づく社会主義-の紹介に入ります。鎌倉さんによれば、朝鮮社会主義は、人間中心-人民大衆中心の社会主義、人間の社会的本質的性格に即し、発展させる社会とのことです。また社会にはその指導者(領袖)と指導勢力(党)が必要だが、決して領袖や党の考えを押しつけるのではなく人民に自分で気づかせていく教育を重視していること、それを通して全人民のチュチェ思想化、インテリ化を計っている、人民の主体的努力が社会主義を前進させる、とのことでした。

 続いて、朝鮮社会主義の現実が紹介されます。朝鮮経済は自立的民族経済(自己完結型経済)を目指し1991年まではかなりの高度成長を遂げており、ピークは1991、92年であったこと、それからソ連東欧社会主義崩壊の影響と大自然災害の中で経済が急速に落ち込み、中川雅彦『朝鮮社会主義経済の理想と現実』(JETRO アジア経済研究所 2011)の数字を引用して、90年代中期には穀物生産が91、92年の20%あまりに落ち込んでしまい、北朝鮮の言う「苦難の行軍」-深刻な食糧難、エネルギー不足が起きたこと、2000年頃から経済が再び上昇し始めるが、まだピーク時の78%程度に止まっていることなどが紹介されました。経済復興の中では軍が重要な役割を果たしており、軍はチュチェ思想が徹底しており、武装だけでなく農業・インフラ整備など生産にも積極的に関わっているとのことです。また北朝鮮の人口はこの間一貫して増加しており、マスコミの言う400万人餓死などはデマであることも指摘されました。そして、近年のグローバリゼーション、市場経済化の潮流の中で経済特別開発区、軍事技術の民間転用などが計られているとのことでした。

 そのあと、参加者との間で予定時間を大幅に上回る活発な質疑応答が行われました。残念ながらさまざまな討議を詳しく紹介することはできません。私の印象に残っているものを記すと、鎌倉さんによれば、北朝鮮は決して閉鎖的ではなく日本からの観光旅行は現在も認めており、北朝鮮に閉鎖的なのは日本の方だ。指導者の世襲については、鎌倉さんは批判的だが、それが北朝鮮の現実だと認めるしかないと考えているとのこと。

 私もいろいろ質問したかったのですが、司会をしていた関係で最後にごく短い発言ができただけでした。
 私の発言内容は以下の通りです。

 鎌倉報告を聞いているとデジャビュ感に襲われる。学生時代に見聞きした文革期の中国を思い出すのである。当時の毛沢東思想も「人民、人民だけが歴史の原動力だ」と言っていた。文革も、建前は党の押しつけではなく人民を主体的自発的に立ち上がらせるものだった。北朝鮮で軍が生産活動にも重要な役割を果たしているのは、文革期に軍が生産建設兵団を作り生産活動も行っていたのと似ている。全人民のインテリ化も、頭脳労働と肉体労働、都市と農村の区別撤廃という文革のスローガンを思い出す。
 文革は、言葉だけみれば今日でも通用するような美しいものが多いが、実際に出現したのはそれとは似ても似つかない社会だった。文革期中国と北朝鮮の比較研究をやる必要がある。また、ソ連崩壊後に穀物生産が20%程度に落ち込むなどソ連崩壊の強い影響を受けたことが事実なら、北朝鮮の言う自立的民族経済は実はまったく形成できておらず、実際にはソ連東欧圏に経済的には深く組み込まれていたのではないか。

 これに対する鎌倉さんの回答は、文革期中国を通して北朝鮮を理解しようというのは、一つの立場としては理解できる、また自立的民族経済がまったく形成できていなかったというのは言い過ぎで、その努力はしていた。九〇年代の経済落ち込みは自然災害の側面もあり、さらに研究しなければならない、というものでした。(瀬戸の理解による要約)
 ともあれ、北朝鮮が社会主義の試行錯誤の一つであることは確かであり、北朝鮮についてのある程度まとまった情報が得られたことは有益でした。

 なお、北朝鮮とは関係ありませんが、福田豊さんと今日も連絡を取り合っているのか尋ねたところ、九〇年代からすでに没交渉になっているとのことでした。(瀬戸宏)

2011年6月12日日曜日

2011年6月12日サイト更新

リンク集に要宏輝 正義の労働運動ふたたび最終章、基礎経済科学研究所、ルネサンス研究所、福田光一事務所を追加しました
文献・資料に、社青同全国学協再建総会議案を掲載したした。第二章の一部までで掲載未完て゜す。また第一章の記載漏れ部分も追加し、解題部分も補強しました。
刊行物・『ある女党員の半生』、『「資本論」から社会の仕組みを学ぶ』リンク先を変更しました。さるさる日記閉鎖にともなう措置です。新リンク先はこのブログです。
労農派の歴史研究会に、129・130回研究会案内、129回研究会報告を掲載しました。
表紙、管理人よりのURLを変更しました。変更先はこのブログです。

今回の更新では、山川菊栄賞選考理由など、労農派の歴史研究会報告の補強がまにあいませんでした。6月末のさるさる日記閉鎖までにもう一回上京できそうですので、その時に更新します。

2011年6月9日木曜日

労農派の歴史研究会第129回例会報告

前回は、「新中期路線」の中身には入らず、当時の社会党について、いろいろと経過や
問題点を話して、終わりました。
 そのときに、あまり整理して言わなかったことを、ちょっと補足します。当時の社会党本部では、経済安定本部(現在の経済企画庁)の職員、その周辺の学者グループがかなり議論に参加、あるいは協力していました。官僚としては、和田博雄の影響下にある人たちが多くいたし、学者は有沢広巳と向坂逸郎の弟子筋の人々が多くいました。党内の勢力としては、和田派(後の勝開田派)、また社会主義協会員が中心でした。この両者は、55年の左右合同反対で一一致しており、その後も緊密な関係にありました。 したがって、官僚たちが持っている統計的な情報についても、最新のものを入手できる位置にいました。
 1960年に、『社会主義日本の設計』(社会主義政策研究会発行、A 5版290頁)という本がでています。有沢広巳。「現代日本資本主義の特質」、高橋正雄・「社会主義政権の課題と準備」、稲葉秀三・「社会主義政権下の財政」、大河内一一男・「労働組合はいかにあるべきか」、大内力・「日本農業をどう変革してゆくか」、の5つの報告をめぐって、いろいろな人が発言するという内容です。参加者にも「大物」がずらりと並んでいます。
 もちろんこの内容は、「社会主義日本」ではなく「社会党政権下の日本」の政策についての議論です。 しかし、優れた学者、政治家が、報告・討論をしています。もしこの時に政権を取っていたら、現在の民主党よりも、うまくやったのではないかという気がします。 (ただし、当時の私は、この本を読んだら「これは改良主義日本の設計」ではないかと、文句をいったかもしれません。)
 しかし当時の社会党が、こういうメンバーで政権構想についての議論をできたというのは、重要な歴史の断面であると思います。

2011年6月3日金曜日

鎌倉孝夫さんの北朝鮮報告

鎌倉孝夫さんが社会主義理論学会6月研究会で北朝鮮に関する研究報告をします。詳細は以下の通りです。

第58回研究会
鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授) 朝鮮式社会主義の思想と現実
参考文献 
鎌倉孝夫『朝鮮半島戦争の危機を読む』(白峰社 2010)
鎌倉孝夫『現代と朝鮮』(社会科学研究所 1993)
日時 2011年6月12日(日)午後2時より
場所 専修大学神田校舎7号館784教室  
会場費 500円(会員、非会員問わず)
詳細は社会主義理論学会HPをご覧下さい。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/sost/index.html

2011年6月2日木曜日

山川菊栄生誕120周年記念映画上映会のお知らせ

*山川菊栄生誕120周年記念ドキュメンタリー映画「山川菊栄の思想と活動『姉妹よ、まずかく疑うことを習え』」上映会が各地で予定されています。山川菊栄記念会HPより転載します。

1 岩手大学全学共通教育科目「ジェンダーの歴史と文化」授業公開
: 2011年 年6月7日(火)13:00~14:30
場所:岩手大学学生センターA 棟G2大教室
問い合わせ先:岩手大学人文社会科学部 海妻径子研究室
Tel/Fax:019-621-6750 email:kkaizuma@iwate-u.ac.jp

2 映像女性学の会 第25回女性監督作品上映会
日時 2011年6月11日(土) 14:00~16:30 
場所 渋谷女性センター アイリス
参加費 1000円   先着50名 事前予約の必要はありません
問合せ先:映像女性学の会・小野まで  
e-mail:ycinef@yahoo.co.jp fax:03-3306-2762


3  大阪上映会 大阪府男女共同参画推進財団 
日時 2011年6月17日(金) 18:30~21:00
場所 ドーンセンター 1F パフォーマンススペース
参加費 700円 定員150名(先着順)
申込み 申込書にてFAXでお申し込みください。
FAX&TEL 072-683-7077

4 東京外国語大学上映会
日時 2011年6月24日(金) 18:00~21:00
場所 東京外国語大学226教室
問合せ 東京外国語大学海外事情研究所
TEL 042-330-5405 e-mail ifa@tufs.ac.jp

5 川崎市男女共同参画センター 上映会
日時 2011年6月26日(日) 13:30~17:00
会場 すくらむ21 4階多目的室
TEL 044-813-0808 FAX 044-813-0864
*詳細な内容や申込書ダウンロード先などは山川菊栄記念会HPをみてください。
  http://www.yamakawakikue.com/

2011年6月1日水曜日

『社会主義』2011年6月号目次

ご注文は社会主義協会へ。東京新宿・紀伊国屋書店本店、東京神田・東京堂書店、福岡・積文館書店新天町店でも販売しています。一冊600円
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 特集 2011春闘総括から単産大会へ
平地一郎◇日本経団連「経労委報告」と社会の行方
小笠原福司◇2011春闘総括から何を引き継ぐのか
足田芳憲◇景気に左右されつつ春闘を闘う
本田久夫◇「宅配統合」による赤字攻撃に抗して
高橋俊夫◇地方連合からみた2011春闘
加納克巳◇36年ぶりに自民党独占に「風穴」をあける
山田あつし◇生活・労働苦にこだわり選挙をたたかう
仲田信雄◇復興財源には消費税しかないのか
沖田カツオ◇大地震・大津波、原発事故に思う
鈴井孝雄◇浜岡から見える原発の問題点
星野幸生◇柏崎から原発を改めて問い直す
高林正廣◇ドイツ左翼党と「これからの社会主義」(二)
岡田新一◇スウェーデンの労働組合を訪問して
向坂逸郎◇山川均の思想と生涯―再録
広田貞治◇古典を読む17向坂逸郎『日本革命と社会党』急がれる反独占民主主義の統一戦線の構築(その2)
<批評>早瀬進◇ドラッカーについて考える