2012年2月27日月曜日

社民党青年向けチラシほか


党大会で配布された社民党の青年向けチラシ。本田ゆみさんのツィッターより。

佐々木まこと田川市議が、ブログで党大会についてのかなり詳しい総括・反省をしているのが目にとまりました。http://sasakimakoto.net/2012/02/post_5bf7.html
きちんとした文章をすぐに書いて総括する態度は立派だと感心しました。結局福岡県連合の推薦が得られなかったのですか。佐々木氏は福岡県連合の役員だった筈で、記者会見までしたものものしさから、私はその程度の事前相談はしているのだと思っていました。それが推薦を得られないというのは、やはり行動の急さを示しているのではないでしょうか。幹事長選挙の結果からみても、選挙があっても佐々木氏の当選は難しかったと思いますが、前にも書いたように、今後はもう少し先を見通した行動企画をしてほしいと思います。

そのほかのブログ類もみましたが、今のところ照屋寛徳議員のブログにやや詳しい意見が出ているだけのようです。http://terukan.blog44.fc2.com/blog-entry-1020.html#more
服部良一議員、阿部知子議員のHP、ブロクには関連記事はありません。もう少し時間が必要なのでしょうか。
このほか、「投票結果から、代議員は党の変革を求めるが、極端な対立は望んでいない事が良く分かりました。」と記した藤田たかひろ東京・国立市議のブログでの意見が印象に残りました。
http://blog.goo.ne.jp/0408_2007



2012年2月25日土曜日

社民党全国大会終了

昨日から開かれていた社民党全国大会が終了しました。この大会では、何人かの青年党員代議員がツイッターで大会内容を逐次的に報告し、大会内容を知るのに大いに役立ちました。その中では、宮城県・本田ゆみさんのツイッターが一番詳細で報告も早かったと思います。
http://twitter.com/#!/honda_yumi/
注意があって二日目は自粛したとのことですが、公党の公開での大会内容ですから、自粛することはないのに、と思いました。それをみると、一日目には大会運営を巡ってヤジもとび、緊迫した場面もあったようです。

幹事長は、結局選挙になりました。結果は重野安正氏が173票、服部良一氏が57票で、重野幹事長が再任されました。選挙をやったことへの意見はいろいろあるでしょうが、実際に対立があるのであればそれを隠して「偽りの統一」を演出するよりも、思い切って対立を表面化させる方が、長い目で見て運動の前進に役立つと思います。ただ、外部から見ていて、対立があることはわかったものの、何が対立しているのか、どのような意見の相違があるのか、依然としてよくわかりません。対立が単なる人間的感情の問題なら、積極性をもった対立とは言えません。この点、特に選挙にこだわった側らしい服部氏陣営は、もっと理論的な深さをもって現執行部批判をしていただきたかったと思います。

佐々木まこと氏の常幹就任は実現しませんでした。ツイッターなどをみると、記者会見だけでなく街頭演説までやったようで、その熱意は近年の社民党にはあまりみられないもので、貴重だと思いました。しかし、各種ツイッターをみると青年議員・党員の間にも感情の溝あるいは不信感もあるようです。大会前日の青年議員シンポの告知が余りに遅いことは、私もここで指摘しましたが、青年議員の中にも約二日前に知らされた人がいたことを、各種ツイッターで知りました。こういう泥縄的なことを繰り返していくと、本当に感情のもつれ・不信感が固定化していきます。今回佐々木氏の常幹就任がなかったことは、本人のためにかえってよかったのではないかと思いました。

「真剣な提案」(「青年議員・党員の再建計画」)についても、首肯すべき面と同時に、先に指摘したようにこれでは党内の多くに受け入れられないだろう、という部分があります。佐々木氏のツィターによれば、氏は「足下の活動を再構築しながら頑張りたい」とのことです。佐々木氏が社民党の将来を担う人材であることは間違いないことだと思いますので、地道な運動を続けながら、ぜひ社民党の現状と将来に対する問題提起を続けていってほしいと望みます。

今回社民党大会観察をしてみて、私は改めて社民党の貴重さを感じました。国会議員だけでなく、地方議員、党員らが民主的に意見をたたかわし、ブログ、ツイッターで積極的に自己の意見を発表することができる政党が、国会議員を有している政党で他にあるでしょうか。不十分さ、弱さも多々ありますが、日本社会党以来のよき伝統は、現在の日本で民主主義が弱体化しているからこそ、ぜひ継承し発展させていただきたいと願っています。

なお、社会主義協会総会で報告されたことですが、『社会主義』では党大会の結果を踏まえて4月号に地方議員・地方組織活動家からの寄稿を求め社民党特集号にするとのことです。期待して待ちたいと思います。

社民党大会一日目

社民党全国大会が始まりました。福島党首のあいさつ録画が社民党HPに掲載されています。(約18分)
http://www.youtube.com/watch?v=JxGSgvBTXXs&feature=youtu.be
「どうなっちゃうの社民党」シンポ映像も、これくらいの画質、音質でないと・・

各新聞サイトをみたところ、毎日新聞、日経新聞が一日目を報道しています。どちらも、野田内閣と対決するという姿勢を福島党首が示したことと、幹事長人事を巡って党内対立が深まっている、ということが主内容です。佐々木議員の記者会見は、今のところ記事になっていません。

福島党首のあいさつ録画を聞いても、女性・青年が社民党に参加しやすくする、青年の声を取り上げる、とは言っていますが、青年を常任幹事に抜擢する、とは言っていません。佐々木議員、川口議員のツイッターも、午後から止まっていて、佐々木議員の常幹入りは厳しい状況にあるようです。大会二日目を注目したいと思います。

ネットをみていて、香川県さぬき市の青年市議多田雄平さんがブログで、私の青年有志党改革計画への感想を肯定的に紹介してくださっているのを知りました。ありがとうございます。
http://sdpkagawa.blog70.fc2.com/blog-entry-546.html
「どうなっちゃうの社民党」パネラーの津田大介氏は、津田公男さんの息子さんであることも、このブログで知りました。津田公男さんは社青同、社会主義協会の専従を長く務めた方で、現在、社会主義協会本部でボランティア専従をしています。昨年は私といっしょに中国に行きました。社会主義協会本部HPは津田さんの息子さんが経営しているIT会社に管理運営を委託していると聞いていますが、この息子さんとは津田大介さんでしょうか。

多田さんは、今社民党大会で議長を務めるとのこと。福島党首あいさつの後ろに映っている議長は、多田さんのようです。

なお、社会主義協会総会について昨日触れましたので一言。前日に全構成員で非公開の交流会(実質的に非公開総会)を開催することは、1998年社会主義協会が分裂した総会から廃止されています。社民党、マスコミ招待もこの総会からなくなりましたが、問い合わせもなく、今日に至っています。協会が分裂した時、かつては新聞の一面に何度も登場した団体だから政治面の豆記事ぐらいにはなるだろうと思っていたところ、完全に無視されたことを記憶しています。かつて社会主義協会と激しく対立した諸党派機関紙(赤旗、革マル解放、革労協解放など)からも黙殺され、社会主義協会の影響力低下を改めて実感したものでした。

2012年2月24日金曜日

佐々木まこと田川市議が社民党全国常幹に立候補

前の書き込みをした後しばらく間を置いて関係者のプログ類を見ていたら、佐々木まこと田川市議が本日からの社民党全国大会で全国常幹に立候補を表明し、そのための記者会見を開いた、という書き込みが目にとまりました。
http://sasakimakoto.net/

また、それによれば、本HPにも転載した「「よそもの・若者・ばかもの」による社民党再建計画」(「社会民主党を愛する青年議員・党員からの再建に向けた真剣な提案」ではなくこちらが正タイトルらしい)が社民党全国大会議案でも言及されその具体化をめざすとのこと。私は社民党員ではないので、全国大会議案は社会新報に掲載されたものを通読しただけですが、気がつきませんでした。私が見落としたのか、新報未掲載部分にその記述があったのか、今はわかりません。

先日開かれた社会主義協会全国総会では、「再建計画」はまったく話題になりませんでした。社民党党首選も話題になりませんでした。議案書でも触れられていません
私は佐々木議員らの提案には共感と共にいささかの疑問も感じる者ですが(疑問の内容はここで詳述しましたので繰り返しません)、党内に新風を吹き込もうという意欲は貴重なものだと思いますので、社民党大会の結果がどうなるか、注目していきたいと思います。

2012年2月23日木曜日

「どうなっちゃうの社民党」シンポジウム

「どうなっちゃうの社民党」というシンポジウムが本日午後5時より国会内で開催されたとのことです。パネラーは早野透氏(元朝日新聞論説委員)、津田大介氏(ジャーナリスト)、佐々木まこと田川市議、稲森としなお伊賀市議、司会は石川大我豊島区議。社民党青年議員が企画したものです。
映像がインターネット上にアップされています。
http://www.ustream.tv/channel/ichiki-tomoko
ネット上では同時中継だったようです。

私はシンポが終わってからアップを知って映像をみました。率直に言って、私のパソコン、ネット環境のせいなのかもしれませんが、録音が悪く、パネラーの発言はほとんど聞き取れませんでした。画像も小刻みに揺れているので、市来議員のサイトをみてみると、彼女のiPhoneで録画したものとわかりました。約二時間のシンポとのことですが、一時間半余りで終わり、最後まで録画されていません。
レンタルでもっと高性能の機器を確保できなかったのでしょうか。三脚などもちゃんと立てて。

このシンポの告知も遅いですね。私は二日前に佐々木議員のサイトで初めて知りました。直接の関係者にはもっと早く通知されていたのでしょうが、一般に対する告知としては遅すぎます。
先日の稲森議員の3日前の党首選立候補といい、もう少し先を読んだ活動ができないのでしょうか。

私は社民党青年議員・党員には期待しているので、ちょっと苦言を呈してみました。

2012年2月19日日曜日

社会主義協会第41回総会開催

社会主義協会第41回総会が2月18、19日両日東京都内で開催されました。代議員、役員、傍聴者など約150名が参加しました。

発言者は40名で、社会主義論、国際・国内情勢、職場情況、各地の協会活動など広範な内容が討論されました。その詳細は公式の報告が『社会主義』などに掲載されると思いますので省略します。

総会では、小島恒久代表、善明建一事務局長、伊藤修編集長など新役員が選出されました。また、佐藤保代表、山崎耕一郎代表代行などの役員が退任しました。佐藤保、山崎耕一郎両氏は顧問に選出されました。社会主義協会の歴史で代表が退任したのは初めてのことです。佐藤保さんは親族の介護に専念し、山崎耕一郎さんは労働者運動資料室を中心に今後も活動を続けるとのことです。総会では善明事務局長から、役員若返りに向けた過渡的措置としてこのような人事になった、二年後の総会で若返りを完成させる、との説明がありました。


2012年2月16日木曜日

労農派の歴史研究会第136回例会

レポートの中で、「・・・これらの指摘は、必ずしも間違ってはいないが、この提起が社
会党の多くの活動家の共鳴をえられることはなかった。それは何故か、提起する側に問題
があったのか、これに共鳴しなかった活動家に問題があったのか。・・・」という部分があ
ります。

 たしかに、今この文書を読んでみても、そう違ったことは言っていません。ところが私
自身も「共鳴しなかった活動家」の一人であったのです。その頃を振り返ってみると、当
時の労働運動が直面していた課題、各労組の反合理化闘争があったし、第二臨調がスター
トした後は、公務員攻撃も激しくなっていました。その目の前にある課題にもっと集中し
て取り組んで、階級闘争が激化して、その延長線上に連合政権が提起されていれば、受け
止め方は違っていたと思います。そういう直面している闘争でなく連合政権を、という提
起がなされていると、感じられたのです。だから、この文書のどの部分は絶対に認められ
ない、というようなところはなかったのに、強く支持する気持にもならなかったのです。

 またこの文書を作り、あるいはその中身を支持していた人たちも、若い活動家のなかに
飛び込んで、連合政権を目指す運動と当面する労働運動との結びつきを訴えることも、あ
まりなかったのです。活動家のほうがうるさ過ぎるので、敬遠されたのかもしれません。

 村山政権、民主・社民・国民新党の連立政権を経て現在の民主党・国民新党連立政権と
いくつかの、政権では、この「80年代・・・」で構想しているような、整った連立政権で
はなかったのですが、自民党長期政権時代とは違った、改革が若干はできています。そう
いう経験もふまえて連立政権の在り方を検討すれば、「反独占一本槍」の時代と違った見方
もできるのではないかと思われます。

http://www5f.biglobe.ne.jp/~rounou/myweb1_008.htm

2012年2月14日火曜日

社会主義協会北海道支局がHP開設

社会主義協会北海道支局がホームページを開設しました。
http://socialistho.fan.coocan.jp/

厳密に云えば、かなり以前から存在しており、公開が支局運営委員会で承認されたとのこと。
近く本体のリンク集に加えますが、とりあえずここで紹介いたします。

2012年2月8日水曜日

「社会民主党を愛する青年議員・党員からの再建に向けた真剣な提案」の感想

この「社会民主党を愛する青年議員・党員からの再建に向けた真剣な提案」(以下、「真剣な提案」と略記)は発表時に一読していましたが、今回再読して社民党の現状を憂う青年議員・党員の心情に改めて強い印象を受けました。私と問題意識を共有する部分も多々あります。たとえば、「まずは離党した現職の議員に対し、「再結集」を呼びかける必要があると強く考えます。もちろんかつての党内抗争や民主党・新社会党への分裂など、過去の経過があるということを青年は承知しています。・・・過去のわだかまりを捨て、対話を通じて連帯していくというのは、まさに平和外交を信奉する社民党員の使命であると考えます。」という部分は、社民・新社が今日別の党である理由は消滅していると考えている私にとって、我が意を得た思いがしました。

 青年議員、党員は社民党の現在と未来を担うものであり、私は、この「真剣な提案」は、もっと社民党の内外で注目され議論されるべきだと思いました。そのため、どれだけ効果があるかはわかりませんが、労働者運動資料室に「真剣な提案」を転載した次第です。

 しかしながら、私は「真剣な提案」からかなり違和感をも感じました。デジャ・ビュ(既視感、どこかで見たなぁという気持ち)に襲われさえしました。この点を中心に、「真剣な提案」についての私の感想を書いてみたいと思います。私は、現在は各種の事情で社民党にはおりませんが、積極的な支持者であることは間違いありません。なお、この文章は私個人の見解であり、労働者運動資料室はじめいかなる団体をも代表しません。この点を明確にするために、文末に署名をつけておきます。

1.社民党には具体的な政策がないか
 「「護憲平和」ばかりを訴えることは、自ら支持を減らす行為であると党全体で認識する必要があると考えます。・・・なによりも人々の生活の不安を取り除く具体的な政策体系をつくり、社民主義政党としてのイメージを確立する必要があります。」
 今回「真剣な提案」を再読して、一番デジャ・ビュを感じたのがこの部分です。
 社民党には具体的な政策体系がないのでしょうか。そんなことはないと思います。
 社民党の最も新しい政策集は、「真剣な提案」の数ヶ月前に出された2010年参院選公約(マニフェスト)です。ダイジェスト版、総合版とも、現在も社民党HPからダウンロードできます。生活再建のための政策が相当に体系的に提起されているという印象を受けます。

 特に今回マニフェストを通読して再発見したのは、このマニフェストは決して「護憲平和」ばかり訴えてはいない、ということです。一般有権者向けダイジェスト版マニフェストは、A4版7ページの分量ですが、憲法に関する部分は01平和・人権の「平和憲法の理念を政治にいかします。「憲法審査会」を動かしません。」という一行半だけなのです。護憲という字句は、ダイジェスト版、総合版を通して一回も出てきません。平和についてはかなりの字数が割かれていますが、これはこの参院選の焦点の一つだったから当然でしょう。しかし、平和に関する部分も、全体の一割にも達しません。マニフェストには、しごと、社会保障、子ども・若者・女性、教育、地方分権、農林水産業、グリーン(環境)、公平な税制、クリーン(政治倫理)の各項目にわたって、具体的政策が列挙されています。マニフェストをみる限り、社民党は「護憲平和ばかりを訴える」、というのはまったく的外れなのです。

 このマニフェストは良いがそれが党内に定着していないから問題なのか、それともこのマニフェストには致命的な欠陥があるのか、「真剣な提案」は何も触れていません。

 思い返せば、「政策がない」というのは社会党時代から繰り返し投げかけられてきた批判でした。しかし、たとえば1954年決定の「左社綱領」をみましょう。この綱領は「恐慌待望論」を定式化したとして評判の悪いものですが、実際には第二部で綱領全体の三分の一を使って当時の日本の情勢にみあった政策が提起されています。(左社綱領が恐慌待望論というのは間違いだと私は考えていますが、この点は今は触れません)

 社会党はよい政策文書を作るが、作ったとたんに棚上げされ忘れられてしまう、ということも、昔から言われていたことです。「真剣な提案」をみると、この社会党の“伝統”は社民党にも引き継がれているように見えます。「真剣な提案」当事者がそうなのではないでしょうか。
 これでは、もし仮に「真剣な提案」起草者が社民党本部の政策作りに関与するようになり、理想的な政策文書ができても、たちまち党内で棚上げされてしまうと思われます。

 政策に関しては、「真剣な提案」と同時に転載した大隅保光「社会党はなぜ解体を余儀なくされたか」6「日本社会党は独自の調査、分析で情勢に対応できなかった」をぜひ読んでください。末尾の「議員が政策づくりに使う資料はほとんど自治体側からでてくるものであった。そのために議員から関係職員への資料提出要求が激しく、それも急であったり、思いつき的であったりで、職員からは嫌われるタイプになり、仲間だからと笑ってすませない現象も少なくなかった。演説をしたり、行政側を攻撃する力はあったが、政策づくりは不得意であった。」という部分は、今日の社民党ではもう無縁になっているのでしょうか。


2.「正しさの主張」と「現実からの出発」は対立するものなのか
「社民党は自らの「正しさ」を主張する前衛党ではなく、人々の不満や不安を出発点とする政党のはずです。」と「真剣な提案」にはあります。この部分にも疑問があります。
 自称前衛党は別にして革命を成功させた本物の前衛党は、少なくとも革命前は自らの「正しさ」を外部に対して一方的に宣伝などしていません。革命前のレーニンや毛沢東の論文を読めば、いかに人々の不満や不安を出発点にしなければならないか、噛んで含めるように丁寧に書いてあります。現実の目の前にいる「人々の不満や不安」を無視して「高邁な理論」を語って自己満足することは、レーニンや毛沢東が最も忌み嫌ったものです。

 一方、現実を重視する西欧社会民主主義政党であっても、私の知る限り決して「正しさの主張」を否定していません。もし単に現実から出発することだけをよしとするなら、人々の不満や不安をとりあえず解消する最も手っ取り早い方法は時の政権に訴えて当座の解決策を実行させることですから、限りなく政権党に擦り寄っていくことを自己目的化するようになるからです。
 「正しさの主張」と「現実からの出発」は、決して対立するものではなく、政治運動、社会運動をする者が車の両輪のように常に意識していなければならないものだと、私は思うのです。
 もし、現状の社民党が「正しさの主張」のみの政党だとしたら、それは政党のあるべき姿からの逸脱です。これも社会党時代から言われていたことです。この点についても、大隅保光「社会党はなぜ解体を余儀なくされたか」がある程度の分析をしていると思います。

 「真剣な提案」には、「同質で異質なものを排除する「美しい」組織は必ず衰退します。」という表現もあります。現在の私は社民党内にいないので、社民党に「異質なものを排除する」傾向があるのか、わかりません。社民党の活動家と接している限りでは、そのような傾向は認められません。逆に異質なものをできるだけ吸収しようと努めているように思います。ただし成果は残念ながら必ずしもあがっていないようですが。この点も、もっと現実に即して具体的に述べてほしいと思います。


3.「よそもの」ということ
「高齢化・過疎化した地域を活性化するのは、「よそもの・若者・ばかもの」だとよく言われます。」と「真剣な提案」は述べます。私も地域文化論を勉強したことがあり、町おこし、村おこしの中心になっている人に「よそもの」が多いのは事実だと思います。
 しかし、「よそもの」で地域の中心となった人をみていると、地元本来の住人以上に地域事情を勉強し、その地域の問題について精通しています。だからこそ、その地域で信頼を集めるようになるのです。

 翻って、「真剣な提案」はどうでしょうか。社会党、社民党の過去の歴史について充分に勉強し、問題が生じる原因を把握しようとしているでしょうか。社民党になってから党活動を担うようになった人からは、しばしば「社会党時代のことは知らない」という声を聞きます。知らないのであれば、勉強すればいいのではないでしょうか。その教材はいくらでもあります。「よそもの」「外国人」の視点でその集団の問題点を指摘するのは大事なことですが、「よそもの」に留まり続けては実効ある方針を打ち出すことはできません。「真剣な提案」は、「これまで党勢拡大・組織強化策が幾度となく立案されてきました。・・・しかしながら、成果を上げることなく今日に至っているのも事実です。その原因をさぐることが「党再建」につながると考えます。」と述べています。しかし、「真剣な提案」もその原因を探り当てていないように思われます。そのためには、「よそもの」からみて「異質」である過去の社会党・社民党の経験・苦闘をもっと研究する必要があるのではないでしょうか。「真剣な提案」が指摘している弱点の多くは、近年に始まったことではなく、社会党時代から長期にわたって存在しているものです。(この点も大隅論文が参考になると思います。)

 私は「真剣な提案」を再読して、これで社会党時代からの党員にすんなりと受け入れられるのだろうか、という懸念を感じました。「真剣な提案」が提案された後の一年余りの経過をみていると、私の懸念を裏付けているようで残念です。


4.自分の足もとからの運動構築を
 私が「真剣な提案」から受けたのは、青年議員たちが持っている危機感は充分に感じられますが、問題の本質に切り込めず、有効な対策を説得力を持って打ち出せていない、という印象です。
 「真剣な提案」は、社民党本部の改革を盛んに主張しています。情報化社会の今日、党中央のイメージは党全体のイメージを決定しますから、このこと自体は理解できます。国会議員や社民党本部のHPは、私も改善の余地があると思います。全国レベルの青年組織設置や青年の全国連合常任幹事抜擢など組織問題は、党外の私が考える範囲外でしょうが、やってみても悪くはない、とは思います。

 しかし、もっと自分の足もとからできることがあるのではないでしょうか。たとえば、「真剣な提案」が提案している「見える社民党」ですが、社民党地方組織のHPには旧態依然としているものも少なくありません。市町村連合(総支部)では、HPがないところの方が多いのです。福岡県田川市、大阪府高槻市、愛知県江南市、東京都杉並区、これらは「真剣な提案」提案者の地域で社民党市区連合組織はある筈ですが、いずれも党HPは見あたりません。まず自分の地域の党組織でHPを開設することから始めたらどうでしょうか。議員は地方組織の有力党員ですから、その気になれば出来るはずです。

 提案者は議員HPは開設しており、それをみると議員活動は一生懸命されていることがよくわかりますが、地域の社民党の姿は必ずしもつかめません。私が青年の頃(1970年代)はこういう議員を「議員活動に埋没している」「党的視点がない」と批判していました。(今から思うとずいぶん生意気な批判をしていたと思いますが、事実なので書いておきます)

 これは文字通り「よそもの」の意見で、まとはずれかもしれません。しかし、もし「真剣な提案」提案者がこれを読んで反発を感じたとすれば、古くからの党員は「真剣な提案」に同様の反発を感じている可能性はある、ということは頭に置いてもいいと思います。

 このほか、「真剣な提案」には署名、作成日時がありません。提案者の個人議員HPで提案者であることがわかるだけです。これも、「真剣な提案」の責任の所在という点で残念なことです。

 批判的な内容が多くなってしまいましたが、私は青年議員・党員が声をあげ「真剣な提案」を提起したこと自体は、たいへん良いことだと思っています。私も、誰に頼まれたわけでもないのに社会党などの資料収集HPを開設管理している「ばかもの」ですので、「ばかもの」に徹してこれまた誰に頼まれたわけでもないのに「真剣な提案」に対する私の感想を書き綴ったわけです。「真剣な提案」起草者・賛同者、さらにここを読んでいる皆様のなんらかの参考になれば幸いです。(瀬戸宏)

2012年2月3日金曜日

2012年2月3日HP更新記録

文献・資料に、大隅保光「社会党はなぜ解体を余儀なくされたか」(2001)、「社会民主党を愛する青年議員・党員からの再建に向けた真剣な提案」(2010)を掲載しました。
リンク集に、民学同の歴史を考えるサイト、無防備地域宣言運動全国ネットワークを追加しました。

ここ一年、サイト更新が滞り気味でしたが、今回は約一週間で更新しました。最近社民党党首選があり、その関係で社民党青年議員のHP、プログを覗くことが多かったのですが、その中に2010年11月提出の「社会民主党を愛する青年議員・党員からの再建に向けた真剣な提案」の内容を2月下旬の社民党全国大会で再提起したいという声がありました。「真剣な提案」は社民党内外でもっと注目されてもいいと思うので、この機会に転載することにしました。転載にあたっては、提案者の一人川口洋一高槻市議の同意を得ました。お礼申しあげます。

ただし、私は「真剣な提案」に共感する部分はもちろんあるのですが、違和感を覚えた箇所もあります。過去の社会党時代の苦闘をどの程度理解しているのかな、と感じたところもあります。それで、同時に大隅保光「社会党はなぜ解体を余儀なくされたか」も転載することにしました。大隅さんのこの文章は10年以上前のものですが、社会主義協会の立場からなされた社会党解体総括として、今も古びていません。また、かなりの部分が現在の社民党にも(新社会党も)あてはまるのではないかと思います。転載にあたっては、急でしたがやはり大隅さんの同意を得ました。あわせてお礼申しあげます。

川口議員には、大隅さんの文章も読んで欲しい、とメールしたのですが、読んでくれるかどうか・・・

私が「真剣な提案」に感じた違和感については、できれば近くここで書いてみたいと思います。




2012年2月1日水曜日

『社会主義』2012年2月号

ご注文は社会主義協会へ。東京新宿・紀伊国屋書店本店、東京神田・東京堂書店、福岡・積文館書店新天町店でも販売しています。一冊600円
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又市征治◇混迷する政治の現状と私たちの課題
仲田信雄◇2012年度政府予算は消費税増税までの「つなぎ予算」か
特集 社会主義を考える
善明建一◇今、あらためて社会主義像を考える
高林正廣◇21世紀の社会主義」で考慮すべきこと
辻田純◇「21世紀の社会主義」について
瀬戸宏◇中国市場経済の現段階と社会主義-国有企業の役割を中心に-
岩場朗◇連合2012春季生活闘争方針の検討
原均◇高齢者労働運動を進めよう-第8回私の提言「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて ILEC:社団法人教育文化協会佳作賞-
上村勝行◇思い出すことども 私と社会主義協会(五)-生涯現役の決意で歩み続ける-
中村譲◇シリーズ古典を読む⑱ 格闘するレーニン(四)-『わが国の革命におけるプロレタリアートの任務』(下の二・完)-