2012年1月7日土曜日

労農派の歴史研究会第135回例会報告

この文書(「80年代の内外情勢の展望と社会党の路線」)は、社会党の理論センターから「学者グループ」に託されて出来上がったものです。図会議員を主力とする社会党の指導部は、70年代の路線論争においては前面に立ったのですが、この時は学者グループに文書のまとめを頼みました。社会主義協会や社青同に属する党員の追求がしつこすぎたのかもしれません。

 前回のレポートでは、世界の「多極化」「各国のナショナル・インタレスト追求」の分析はあるが、各国内では階級対立があるはずで、その分析がない、という指摘がありました。そういうところが、学者グループに頼ったためにできた弱点ではないかと思われます。80年代というのは、新自由主義の嵐が吹き荒れていた頃で、レーガンは、アメリカ最強の労組と言われていた航空管制官労組をつぶし、サッチャーはイギリス炭労の抵抗をつぶし、日本でも臨調行革が強まって、この文書作成時にも、国労への攻撃が強まっていました。つまり、米ソ対立よりも、各国内の階級闘争が激化していたのです。この文書では、そういうところに目が向いていません。

 この文書の中では、非同盟諸国会議、あるいはその首脳たちの言動が高く評価されています。その点を「多極化」の表れとして評価しているわけです。それはそのとおりですが、現在では、別の面での評価も必要だと思います。この時期に発展途上国が結束して、先進資本主義国と対決したことによって、その国々の経済発展を加速したという点です。たとえば、ある国に巨大資本が工場を作ろうとしたとき、原料、部品の国内調達率を上げるとか、輸出を増やして多く納税するとか、労働者の賃金を上げる、などの条件を課せられました。だから「新植民地主義的」にならず、むしろ先進国資本の投資力机発展途上国の経済発展につながったのです。キューバのカストロ首相をはじめ、多くの人たちの奮闘は、思い起こされてよいと思います。

http://www5f.biglobe.ne.jp/~rounou/myweb1_008.htm

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