2012年6月17日日曜日

労農派の歴史研究会第139回例会報告


前回のレポートでは、曽我中執の『社会新報』論文などにより、当時の党指導部が理論委員会の学者グループの説にしたがって、国家独占資本主義論を放棄して「過程社会主義論」(現実の資本主義の過程が社会主義だという説)を採り、また公明党綱領に通じるように、「人間尊重・ヒューマニズム=社会主義」という定義をしたことが報告された。そういう変化は、党指導部が「政権が近い」ことを強く意識した結果であった。どこの国の左翼政権も、政権が近づくと言うことも現実的になるものである。

 先ごろ当選したフランス大統領も、自分は社会主義者だと名乗っているが、資本主義の制度を根本的に変えるような政策は出していない。自分と閣僚の報酬を大幅に削り、教員の増員、労働者の賃上げを主張しているのは立派だが、それは社会主義ではない。しかし、まず国民に好感をもたれるような改革をして、支持率を上げてからじっくり改革に取り組もうというのは、理解できる。

 当時の社会党指導部も、同じようなことを考えて、政権構想、政策をより現実的にしていこうと考えていたのだろうが、残念ながら支持率は上がらなかった。マスコミも理解を示さなかった。まだ冷戦中であったので、社会主義的な要素をもった構想には、拒否反応が強かったのである。

 政策変更に反対する方の陣営も、そのあたりの理解はパラパラで、対応がいくつにも分かれてしまったのだが、続回大会では付帯決議を付けるという対応で統一された。そのときの努力は、後に社会党の分解が進む過程で、出来るだけ組織を維持する力として生きた。
 現在は、政権からは遠いので、もろもろの経過、問題点を総点検して、次の時期に備えることが大事だと思われる。そういう討論をしておけば、必ず役に立つときはくるということを期待しつつ。      

2012年6月1日金曜日

社会主義2012年6月号目次



鎌倉 孝夫 金融・財政危機から国家の危機へ(下)
特集  12春闘総括から今後の課題を探る
近江 連合12春闘中間総括を検証する
根岸 一歩を踏み出したJP労組の12春闘
豊巻浩也 岩手県教組の12春闘総括と課題
小池 泰博 働く者が企業存続の調整弁か
佐藤肇 独立行政法人下における職場改善の闘い
高橋 俊夫 地方連合春闘の取り組みと課題
石井 敏郎 北海道における12春闘中間総括

熊谷 重勝 内部留保分析の視座
菅原晃悦 震災被害を資本主義の矛盾の観点で捉えなおす
金子 豊貴男 相模原市公契約条例スタート
山田 あつし 生活苦・労働苦と繰返し闘い社民党の強化を
善明 建一 ◇批評  フランス、ギリシャの二つの選挙結果を考える,
田本 ◇思い出すことども 私と社会主義協会

2012年5月25日金曜日

労農派の歴史研究会第138回例会報告

この「新宣言」は、革命、革命的激動にかかわる表現を出来るだけ少なくして、社会主
義への移行を説こうという文章です。当時の社会党左派の人たちが、右派、労働組合の指
導者たちを刺激するような部分を削りながら、党員を納得させようという意図が、読み取
れます。それが当時の私(山崎)を含む社青同の活動家には不満であったのです。

 しかし、さきの政権交代を経験してみると、別の受け止め方も出てきます。ご承知のよ
うに民主党というのは、社会主義政党ではありません。自民党政権時代の財界、官僚との
癒着、アメリカ追随をやめて、民主化を推進しようとしたのですが、それだけの改革でも、
ものすごい抵抗があり、内閣は行きづまってしまいました。

 もしあの頃に、社会党政権ができていたら、既得権者たちの抵抗・妨害は、ものすごか
ったと思われます。われわれは、革命的な議論をしていた割には、そういう反動攻勢への
備えについては、準備が出来ていませんでした。そして政権を再転覆しようとする人たち
と闘うには、多くの労働組合との協力が必要です。たとえ右派(労資癒着の運動をしてい
る人たち)であっても、できるだけわれわれの意図を理解してもらうことが、必要です。
そういうことを考えながら当時の論争を想い起すと、もう少し違う発言で良かったような
気がします。

 話は変わりますが、フランスの大統領選挙の結果は、たいへん良かったと思います。オ
ランドという人は、有名なENA (国立行政学院)出身のエリートであり、社会主義者では
ありませんが、緊縮財政政策を批判し、雇用拡大による経済の成長を主張しているのは、
適切だと思います。日本の政治家も、「公務員叩き」の風潮に迎合しないで、「賃金上昇に
よる内需拡大」策を、主張した方がよいと思います。

2012年5月1日火曜日

『社会主義』2012年5月号目次

鎌倉孝夫◇金融・財政危機から国家の危機へ(上)
広田貞治◇混迷する国内外情勢と解散総選挙
特集 現存する社会主義の現状
善明建一◇「ドイツ左翼党綱領」の検討(上)
松永裕方◇キューバの経済改革で社会主義を考える
辻田純◇「中南米社会主義運動の現状」について
加納克己◇「中国の特色ある社会主義」をめぐって

伊藤修◇批評 「大学は今」
中野麻美◇雇用改革の現段階
津田公男◇活発化する改憲論議
梅川正信◇訪韓して韓国民主労働者との交流から得たもの
大槻重信◇変貌する日米安保体制
小川研◇古典を読む⑲ 『パリ燃ゆ』(二)

2012年4月28日土曜日

2012年4月28日更新

会報23号を掲載しました。
文献・資料に、学生運動の再建・統一にむけ階級的学生運動の全面展開を!!(1973)を掲載しました。
リンク集に、マルキスト インターネット アーカイブ2012、旗旗、社会主義協会北海道支局を追加しました。
山川菊栄賞に2011年度受賞作品を追加しました。
労農派の歴史研究会に136回研究会報告を追加しました
最近管理人のパソコンが故障し、その関係で資料室HPファイルが不調になり、かなり手直ししました。一部のページのURLが変わり、現在かなりのページで文献・資料目次に内部リンクできなくなっています。目次に戻る際はブラウザの戻るボタンをお使い下さい。順次修正していきますが、しばらく時間がかかります。ご理解下さい。表紙(トップページ)へのリンクは問題ありません。

今回の更新から全文ファイル添付は、原則としてpdfファイルとします。




2012年4月22日日曜日

社青同神奈川学協同窓会


上の神奈川新聞投稿記事は、明記されていませんが、社青同神奈川学協(社青同神奈川地本学生班協議会)の同窓会です。投稿者の原均さんから送っていただきました。転載および氏名を出すことの許可をいただきましたので、ここで紹介します。4月8日開催とのこと。
ここでのアップは控えた方がいいと思いますが、当日の写真もいただいています。16人が集まりました。
 上の画像ではわかりにくいかと思いますので、投稿全文をまず紹介します。
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  労働運動語り合った仲間
  団体職員原均60(鎌倉市)
 1970年代の労働運動の高揚期、当時の横浜4大学(横浜国大、市大、神大、関東学院)に「労働運動をやって世直ししよう」と語り合う学生グループがあった。
 卒業後、それぞれの道を歩んだが、最近、「そろそろみんな定年。集まらないか?」との声が上がり、日曜の中華街で久しぶりに再会。集まったのは県内外から16人。
 一組合員として労組を支えている人、単組や連合、地区労の役員を務めている人、労組書記、労働福祉団体職員、人権団体役員、労働行政職員、管理職になった人、退職した人、主婦。労働争議や障がい者問題、女性運動に関わっている人など多士済々だった。参加できなかった仲間の中には社会保険労務士や国会議員秘書などもいる。共通しているのは、20代で志した「働き方」と「世直し」へのこだわりだ。
 病気や家族の介護で欠席した人もいる。そういう年齢になったが、世の中はかつて夢想した通りにはなっておらず、非正規労働者の激増などの課題も浮上。「やることはまだたくさんあるよ」と、懇談が続いた。
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私と原さんは同年齢のようです。学生運動現役だったのは約40年前なのですね。私は1971年入学ですが、その40年前というと1931年で満州事変(9.18事変)の年です。中学高校大学で授業に満州事変が出てきても、はるか昔という感覚だったのですが、今の学生に私の学生時代を語っても同じ感覚を持たれるのでしょうね。

東京あるいは全国の社青同学協同窓会ができないか、元学協議長の鎌田さんと話したことがあります。誰かが国会議員に当選した時にお祝いを兼ねてやるのがいいのでは、ということになりましたが、残念ながらその機会はなかなか訪れません。国会議員候補者ならいるのですが。
(1989年反消費税ブームの時元大阪市立大学の喜岡淳さんが参議院議員に当選していますが、当時はまだ同窓会をやろうという雰囲気ではありませんでした)

来年、2013年3月は全国学協再建40周年です。あるいは、これを機会にするのがいいかもしれません。東京、全国学協の場合は、いろいろ意見の対立もあり難しい面もありますが、実現できればいいと思います。

2012年4月1日日曜日

『社会主義』2012年4月号目次

ご注文は社会主義協会へ。東京新宿・紀伊国屋書店本店、東京神田・東京堂書店、福岡・積文館書店新天町店でも販売しています。一冊600円
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特集 雇用破壊「合理化」に抗して
平地一郎    日本経団連の雇用戦略―新自由主義の労働市場改革
武藤聡      自治体における合理化の進行
持田幸雄     JR西日本の合理化攻撃に抗して
水沼剛       JP労組の現状と職場からの課題
下平正治      大震災後の職場状況と課題を考える
大内和夫      同じ職場で働く仲間として―岩教組臨時採用教職員部の取り組み―
清水哲男      臨時・非常勤職員の組織化
鈴木靖        地域から公契約条例運動の組織化
仙葉 久         全労働者の賃上げをめざした共闘体制の確立
布野幹夫      教育基本条例(案)の問題点と教育政策
田山 英次      第13回社民党全国大会を終えて
岸田清実      意識的な組織づくりと総合力の発揮
真鍋健一     原発はもうたくさんだ!―放射能のない安心してくらせる社会を―
第41回社会主義協会全国総会開催
石川克己      批評 プーチン大統領の復帰
小川研        シリーズ古典を読む⑲ パリ燃ゆ(一)―パリ・コミューンの誕生―
次号予告