2015年4月18日土曜日

労農派の歴史研究会第169例会報告

*飯田敬輔『経済覇権のゆくえ』(中公新書)第三章通商体制の変遷


 アメリカとイギリスは、利害が結構対立しているのに、上手に連携しながら世界をリー
ドしてきました。とくに、ブレトンウッズ体制と言われる、ドルを事実上の基軸通貨とす
る通商、経済の運営は、うまくやってきました。


 その象徴的な人物として、コーデル・ハルが紹介されています。Fハル・ノート」という
日米開戦を語る際にしぱしぱ出てくる文書の署名者です。ローズベルト政権での国務長官
です。このハルのもとで、ブレトンウッズ体制といわれる。ドルだけが金と結びっき、他
の通貨はドルとの繋がりで信用・安定を保障されるという体制ができました。戦後の世界
経済は、このブレトンウッズ体制の下で維持されたわけです。


 ご承知によ、うにアメリカは、強い軍事力とCIAという強力な諜報(陰謀)機関を駆使
して、世界に君臨してきました。しかし経済においては、裏方の役割も果たして、世界経
済の混乱を防いできたのも事実です。そういうことのできる人材も、アメリカは供給して
きたのです。経済力の落ちているイギリスも、この体制をつくるのに貢献したそうです。
ケインズが、その準備に参加しました。その呼び討議に、2年間かけたと書かれています。
 GATT(貿易と通商の一般協定)も同様に、この両国がリードしながらつくられまし
た。アメリカの圧倒的な経済力をテコに、世界の通商の秩序を維持してきたわけです。そ
のアメリカの経済力も、年々、落ちてきています。まだ世界第一位ではありますが、第二
位との差は、詰まってきています。


 次はどうなるか、知りたいわけですが、その具体案を考える前に、もう少し、この通商
秩序の混迷ぶりの進化の過程を、次回に学習します。

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