熊谷博子です。5年がかりで書いた本が出版されました。
映画『三池 終わらない炭鉱(やま)の物語』で出せたことは、実は撮影した中のわずかでしかなく、上映を続け、様々な人と出会いながら発見したことは、さらに
膨大でした。どうしたらそれが伝えられのか。その後ずっと本を書いていました。
三池炭鉱の坑道は、日本のあらゆる問題とつながっています。しかもエネルギー
問題は、日本の裏事情でもあり、事実を掘り出し、つなぎ合わせ、それが正しいのかを確かめるには、長い大変な作業が必要でした。
何とか完成に近づいたかなと思った時に、3・11が起きました。また全面的に書き直すことになりました。
かなりの大作になってしまいましたが、一気に読めます。
炭鉱から原発に至る見えない坑道があり、すべてのものごとは過去に終わっているのではなく、見事に絡み合いながら現在につながっているということが、パズルを解くようにわかります。読めばきっと、涙が滲みます。
タイトルには、もう原発はやめにしてくれ、という思いを込めました。
炭鉱に始まる、日本という国を支えてきた、そして今も支えている無名の人々の姿を、きちんと見直したいのです。
人々の価値観が変わらなくてはならないこの国を、まさに根っこから掘り、ともに新しい道を作れる本だと、確信しています。
ぜひ、手におとり下さい。
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◇『むかし原発 いま炭鉱 ~炭都[三池]から日本を掘る』
熊谷博子 著 中央公論新社 2300円(税別)
熊谷博子 著 中央公論新社 2300円(税別)
―日本の根っこと未来へ向かう坑道がある 原発は何を残そうというのか
話題の映画『三池』監督、渾身の書下ろし― 帯から
話題の映画『三池』監督、渾身の書下ろし― 帯から
【目次内容】
○炭鉱は文化を生み出したが、原発は文化を生み出さなかった―まえがきに代えて
○プロローグ 古くて新鮮な物語
○第一部 「負の遺産」て何なのさ!~三池というまちで
廃坑跡から声が聞こえた/負の遺産!?/異種混合スクラム/炭鉱にさわる/
地の底で乳をしぼる
○第二部 地の底のジグソーパズル~三池闘争から現代へ
60年の記憶/撮れないものを撮る/それぞれの一瞬/イデオロギーか生活か/
分裂工作のシナリオは誰が?/裏の裏のそのまた裏/炭鉱労働者から原発労働者へ/
みんな仲間だ
○第三部 巨大企業への一刺し~事故を抱きしめる女たち
妻たちと母たちの地獄/妻たちの坑内座り込み/つぶされた鑑定書/
象の足にアリがかみつく/団結公害/負けてそして勝った
○第四部 炭鉱(やま)に埋められた歴史
長老の沈黙/切り取られた壁/心に時効はあるのか?/アメリカ人捕虜の訴え
○第五部 炭都シンフォニー
労働への尊厳/撮れなかったものの重さ/負の遺産を富の遺産に
○エピローグ 三池の女と夕張の女
本のチラシは以下から http://www.cine.co.jp/miike/event.html
本の紹介 http://www.chuko.co.jp/tanko/2012/03/004343.html
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