2013年6月21日金曜日

労農派の歴史研究会第150回例会報告

 労働法制についての対応、国の基本政策、政治方針などが前回のテーマでした。この前にも言ったように、総評が無くなり、90年代には社会党も分解してしまうという状況で、労働運動にはたいへん暗い情勢でした。反動化を危惧する発言が、度々出されました。

 しかし私としては、連合の議論は、予想していたよりも堅実で、傘下の産業別組織、あるいは単位組合などから出された意見は、それなりに反映されていたと思います。労働運動全体が停滞して弱くなっていたので、反戦・平和の闘いも、労働法制に中いての闘いも強力でなかったのは事実です。しかし、強引な運営で反対意見を抑え込むというようなことは、あまりなかったと思います。
 憲法9条や自衛隊・自衛権などについても、きちんと意見集約がされていたようです。UIゼンセン同盟のように、改憲論の労組があるところでの意見集約でしたから、左派の人々が満足するような内容ではなかったのですが、それは労組の現状ですから、我慢しなければなりません。我慢しながら、正しい意見でまとめられるように、影響力を拡大しなければならないのは当然です。

 最近の労働組合の話を聞きますと、われわれの仲間たちも含めて、役員の後継者を確保するのに四苦八苦しているそうです。ということは、逆に言えば、後継者をたくさんつくって労組役員に送り込めば、方針、見解についても足りないところを補える、ということです。もちろん、現在はこの点が一番難しくて、どこの団体も四苦八苦しているところです。今は労組の機関で「主導権争い」をするよりも、どの党派、政治潮流も、「後釜不足」が深刻だそうです。

  「後釜」を育てるためにも、労組の政策、政治的立場について、若い人々に理解してもらうことが大切です。長期の不況で、労組の奮起を期待する声が大きくなっているこの頃ですから、ぜひこの点での成果を上げましょう。

2013年6月1日土曜日

『社会主義』2013年6月号目次


特集 春闘総括と今後の課題

五十嵐光彦  地方交付税・賃金削減阻止の取り組み,

根岸均  焦点となる賃金を巡る攻防(郵政)

佐藤正幸  新人事・賃金制度について(JR東日本)

石井敏郎  13春季生活闘争・連合北海道の取り組み

足田芳憲  中小企業労働組合における2013春闘

 

藤田研一  採用から65歳までの雇用制度(NTT)

高田順次  職場実態にもとづく要求・運動づくりを(国有林野職場)

三木秀樹  丸亀市におけるトリプル選挙三連勝

社民党  自民党「日本国憲法改正草案」全文批判(抄)

菅原修一  「2013年版中小企業白書」を読む

川上登  地方財政制度から見た地方公務員給与削減問題

山崎耕一郎  批評 ボストン・マラソンでの爆弾テロが語る悩める“人種のるつぼ”

浦口俊郎  闘い続けた織田寿美子さんの生涯

大槻重信  古典を読む⑲クラウゼヴィッツ「戦争論」と「孫子」

 

 

 

2013年5月22日水曜日

中国社会科学院マルクス主義研究院訪日団来日

2013年5月10日より21日まで、中国社会科学院マルクス主義研究院訪日団金民卿団長ほか一行計五名が、社会主義協会の招待で訪日し、東京、名古屋、関西を訪問、現代中国研究者と交流したほか、各地を視察しました。これは、社会主義協会が2001年より続けているマルクス主義研究院との交流(前身のマルクス・レーニン主義毛沢東思想研究所時代を含む)の一環です。一部の訪日団メンバーは、17日、18日三重・ヤマギシ会本部を訪問しました。
 このうち、5月12日(日)には、東京・水道橋グランドホテルで社会主義協会との理論交流がおこなわれ、午前10時から午後5時半まで、事前に双方から出された質問事項に基づき、熱心な討論が行われました。
双方の質問事項は、次の通りです。
●社会主義協会からマルクス主義研究院への質問事項
1.中国共産党18回大会および第12期全人代、政治協商会議の基本特徴
 今後も高経済成長を追求するのか
 指導部人事について、「改革」「保守」の路線対立を反映していると日本のマスコミは報道しているが、それをどうみるか
2.中国社会の格差拡大の現状とそれに対する中国共産党・政府の対策
 環境問題、労働者の賃金、労働条件、権利問題、都市と農村(戸籍問題を含め)、教育問題、医療、高齢化社会等具体的問題の現状と対策
3.国有企業改革の現状と今後
4.中国社会主義民主の現状
 全人代の機能、広東省烏坎村・上浦村など
5.中国官僚層の腐敗発生の原因と対策
 薄煕来事件など
6.中国の当面の外交政策
 北朝鮮(特に核実験への見解)、ASEAN諸国、ロシア、アフリカ諸国、TPP、日本

●中国側質問事項
1.日本の学者の中国特色社会主義に対する認識
2.日本はどのようにして農民に社会サービスを提供しているか
3.日本の両極分化状況はどうか。日本のギニ係数はいくらか。
4.日本都市化の経験と教訓
5.日本の学者の毛沢東研究の最新状況
6.新自由主義の日本の学界での影響
7.日本の反腐敗機構、対策

交流は、善明建一社会主義協会事務局長との司会で行われました。中国側、日本側とも、一質問事項に一名が20分(通訳を含むので実質10分)で回答し、10分間討論するという形式です。双方とも率直に自己の見解を述べ、熱心な討論が行われました。『社会主義』8月号に理論交流の報告が載る予定ですので、ここでは詳細は省略しますが、たいへん有意義であったと思います。ただ、質問事項はかなり絞ったのですが、通訳を介しての交流ではやはり時間が足らず、一部の質問事項は時間切れになりました。次回はもう少し質問を絞る(日中とも各5問、計10問)必要があると思いました。

中国側も今回の訪日に満足していたようです。訪日団は21日に関西国際空港から無事に帰国しました。

*マルクス主義研究院との交流報告は、諸般の事情で『社会主義』2013年9月号になりました。



 

2013年5月19日日曜日

労農派の歴史研究会第149回例会報告


連合結成の後、90年代に入ると日本経済は長期の停滞期に入りました。多少は景気の波が上向いても、グローバル化で国内の生産・販売は伸びないので、労働者、とくに中小企業労働者には、厳しい状況が続きました。国内の工場、営業所の縮小、撤退が相次いだからです。そのために春闘においても、中小企業労組を多く抱える産別は、苦しい局面に立たされました。

 レポートでも強調されたように、93年春闘で「中小連絡共闘会議」が発足し、94春闘では「中小運動センター」が新設され、95春闘では「中小共闘センター」になりました。

 2000年代になると、パート、非正規労働者の増加が大きな問題になり、06年には「パート共闘」が設置され、07年には「連合非正規労働センター」「パート共闘」「パート共闘連絡会議」などが出来て、労働条件改善、組織化などに取り組みました。最低賃金の引き上げにもつながりました。

 労働組合の力量を高めるために、未組織労働者の組織化にも、力が注がれました。それでも、組織率は上がらず、連合の組織数も徐々に落ちています。連合組織は最高時には800万人を超えたそうですが、リストラの連続で雇用者数が減ったためもあって、現在は700万人が目標です。

 労働法制確立の取り組みも継続してきました。なかなか目に見える成果が上がらないのは事実ですが、取り組みの中軸になっているのは連合です。労働戦線再編成の議論が盛んであった90年代には、連合はすべて資本の言いなりになるかのような批判を受けましたが、労働者の意見がそれなりに反映されているのも事実です。問題はその「労働者の声」を、もっと強めることではないかと思われます。

2013年5月1日水曜日

『社会主義』2013年5月号目次


ご注文は社会主義協会へ。
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吉田ただとも■参議院選挙の争点と政策課題

善明建一■進む労働市場の流動化と規制緩和

 

特集 現代と日本国憲法

佐藤保■日本国憲法が果たしてきた役割

大槻重信■せめぎ合う改憲と護憲

北川鑑一■労働法制の規制緩和は生存権侵害

中村元気■安倍・自民党「教育改革構想」の実態とねらい

平川則男■医療保険制度と日本国憲法

福原宗男■生活困窮者の増大と生活保護制度の実態

中島修■自民党の「日本国憲法改正草案」を読んで

津田公男■危険きわまりない安倍政権の軍事政策

崎山嗣幸■憲法と基地問題

 

小笠原福司■批評 アベノミクスと2013春闘

正田彰■思い出すことども 私と社会主義協会(十一)

瀬戸宏■重慶モデル・薄煕来事件とは何であったか

中村譲■古典を読む⑱ 10月革命前夜ー平和的発展と武装蜂起の「間」

2013年4月1日月曜日

『社会主義』2013年4月号目次

小島恒久■歴史の危険な曲がり角

特集 アベノミクスとその政治を問う
北村厳■大幅な金融緩和へ舵を切った安倍政権
横田昌三■2013年度税制改正案とアベノミクス
石原健二■民主党の財政運営と安倍政権の財政出動
布野幹夫■第二次安倍政権の教育政策を考察する
藤井宗一■TPP参加で日本の農業は壊滅的な打撃

木村辰彦■オスプレイの配備・撤回を求める沖縄県民
町村進■国の地方公務員賃金引き下げ強制に反撃
佐々木貴■職場からタダ働きに抗して
東篤■衆議院解散総選挙を戦って
社会保障と財源についての研究会報告
山藤彰■社会主義的計画性の真のあり方について
山崎耕一郎■書評『世界の99%を貧困にする経済』
杢田恭輔■向坂逸郎先生に学んだ『資本論』研究会

2013年3月13日水曜日

労農派の歴史研究会第147回例会報告

 90年代には、国際政治においてはソ連の崩壊があり、国内では五五年体制の解体があり
ました。経済のグローバル化が進行して、労働者の運動にも大きな影響がありました。そ
の時代の日本の政治を、手短にまとめたのがこの章です。

 当時、自民党政権はもう長くは続かないということは判っていたのですが、どういう政
権に代わるのかは、必ずしも明確ではありませんでした。この執筆者が言う北欧型社会民
主主義の日本版の実現というのは、もっとも有力な説の一つでした。福祉の充実に、反対
する労働者はいないからです。

 49頁以降に書かれているように、09年の総選挙では、非自民勢力の期待がうまく結集
されたと思われます。国民生活重視、人間らしい労働(ティーセント・ワーク)、官僚政治
の打破、政官業癒着の打破、地方分権、環境保護など、ほんとうに期待は大きかったと言
えます。それがご承知のような経過で、短期の首相交代、支持率低下があって、昨年末の
総選挙での、民主党大敗に至ってしまいました。社民党はもう与党ではなくなっていたの
です力八同様の敗北であったと見なければならないでしょう。共産党にも支持が集まって
はいないので、民主党政権と共に[戦後革新]が敗れたと見て良いのではないでしょうか。
 レポーターの廣田さんも、「四 生活に密着した国民の要求一北欧型社会民主主義の日本
版を」「五 非核化政策と日米同盟からの脱却」「六 連立政権を支える社民党と労働組合
の役割」について述べています。

 90年代には社会党左派も落ち着いた討論ができずに、成り行き任せで分裂し、峰な政策
論議もせずに民主党政権に追随してしまったのですが、今度はもう少しましな対応をしな
ければ、という感じがします。現実にわれわれの周辺に残存している政治勢力を見るとか
なり遠い課題かもしれませんが。